【花粉症の方必見】2018年の花粉傾向と最新のお薬・免疫療法、市販薬情報まとめ

山﨑友樹

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毎年、花粉症でお悩みの方は多いかと思います。ニュースなどで新しい花粉症のお薬が出たと聞くたびに、自身で調べている方も多いでしょう。花粉症のお薬も日々研究がすすみ、毎年のように新しいお薬が販売されたり、市販で購入できるお薬の種類も増えています。また、最近では、アレルゲン免疫療法といって、舌下投与のお薬の服用を続けることで、症状を和らげるという効果を持つものもあります。

 今回は、2018年の花粉の傾向や従来の代表的な治療薬を解説するとともに、最新の花粉症に用いられるお薬や、アレルゲン免疫療法、又、市販薬についてもご紹介していきます。

※この情報は、2018年2月時点のものです。

1.2018年の花粉の傾向・情報

 まず、花粉の傾向や情報を調べるには、環境省のサイトがオススメです。以下のリンクを辿ると各都道府県における飛散情報が得られます。

「環境省 花粉情報サイト」

http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/index.html

こちらを参照の上、お薬を使われる前にまず「【妊婦の方必見】妊娠中の花粉症対策、お薬は飲んでもOK?その注意点を解説」の記事でご紹介した対策を考えられると良いでしょう。

 

2.花粉症に用いるお薬の種類・タイプと特徴

 前置きが済んだところで、お薬の紹介に入ります。

花粉症に対するお薬の種類は様々で、炎症を抑えるステロイドアレルギーを抑える抗ヒスタミン成分を含む点鼻薬、点眼薬及び内服薬が一般的に知られています。また、皮下注射や舌下投与という方法でアレルゲンを投与する免疫療法も近年ポピュラーで、実際に症状を軽減するという知見も積み重なっています。

 

お薬のタイプを理解するには、花粉でくしゃみや鼻水が出る仕組みを考えると良いでしょう。まず、異物やアレルギー物質による刺激を受けると副交感神経が刺激され、マスト細胞からヒスタミンという物質が放出されます。これがくしゃみや鼻水の主な原因物質で、この働きをブロックするのが抗ヒスタミン剤です。

 

ヒスタミンが放出されてしばらく時間が経つと、遅れてロイコトリエンやプロスタグランジンと呼ばれる化学物質が出ます。これらが炎症を起こし、血管を拡げた結果充血したり鼻づまりが起こります。こうした化学物質が出ているときは、上述した抗ヒスタミン剤だけでは効きづらいため、それらを抑えることができるステロイドや抗ロイコトリエン薬という種類のお薬を併用することもあります。

 

また、拡張した血管を収縮させる点鼻薬を使うことも有効です。中には、血管を収縮させるエフェドリンと抗ヒスタミン成分を両方含むディレグラ配合錠という強力なお薬もあります。近年では、症状を抑えるのみの薬物療法と異なり体をアレルゲンに慣らすことで根本的な症状緩和を目指そうとするアレルゲン免疫療法と呼ばれる方法もありますが、継続に根気が必要な治療ですので検討するにしても十分な説明を受けてからの方が良いでしょう。

 

3.花粉症の治療薬

3-1. 従来からある代表的なお薬

 以上の概要を掴んだところで、具体的にどのような薬があるかいくつかご紹介いたします。全般的な情報は「鼻アレルギー診療ガイドライン2016年度版」にありますので、そちらをご参照頂いた方が良いのですがここでは主だったお薬について紹介します。何の薬を選ぶかは目的によって変わりますが、一般的には次の条件を満たすものが汎用されています。

 

1、すぐに効く

2、眠くなりにくい

3、副作用が比較的少ない

 

そして、これらの条件に適合するのが「第二世代の抗ヒスタミン薬」というグループのお薬です。では、第二世代とはなんのことでしょうか。第二世代があれば第一世代があることは容易に想像がつきます。この世代分類は、大まかにはお薬が脳内に移行しやすいか否かによってなされています。

 

 第一世代は、比較的分子量が小さく、脂に溶けやすいため脳内へ移行して眠気など中枢性の副作用を生じやすいのです。また、抗コリン作用といって鼻水の出などを抑える作用もありますが、その副作用として口が渇く、尿の出が悪くなる、便秘がちになるなどの症状を生じやすいのが特徴的です。

 

この代表的な製品として、

・ジフェンヒドラミン(商品名:レスタミンコーワ錠など)

・プロメタジン塩酸塩(商品名:ピレチア、ヒベルナ等)

・クロルフェニラミン(商品名:ポララミン等)

・ステロイドとクロルフェニラミンを配合した製剤(商品名:セレスタミン配合錠等) など

があります。

ジフェンヒドラミンは市販の睡眠薬にも使われるほどで、眠気は比較的出やすいとされています。

 

 一方で、第二世代の抗ヒスタミン剤は、脳内へ移行しにくく、中枢性の副作用や抗コリン作用が弱く、比較的眠気や集中力低下などが起きにくいタイプです。

 

第二世代で初期に開発されたのが、副作用が問題となる抗コリン作用を弱めた

 

・ケトチフェン(ザジテン)

・アゼラスチン(アゼプチン)

・オキサトミド(セルテクト)

 

で、続いて開発されたのが、中枢性の副作用を軽減した

 

・セチリジン(ジルテック)

・クラリチン(ロラタジン) です。

 

この2つは市販薬でも同一成分のものが販売されていますので、ご存知の方も多いでしょう(これら以降を第三世代と呼ぶケースもありますが、ここでは第二世代で統一して説明を進めます)。

更にその後になって、より作用が強力な

 

・エピナスチン(アレジオン)

・エバスチン(エバステル)

・フェキソフェナジン(アレグラ)

・オロパタジン(アレロック)

・ベポタスチン(タリオン) というお薬が販売されるようになりました。

 

3-2. 比較的最近販売されたお薬

 比較的新しいお薬ですと、上述したセチリジンとロラタジンの活性成分を分離して製造されたレボセチリジン(ザイザル)やデスロラタジン(デザレックス)、

続いてビラスチン(ビラノア)と実に数多くの抗ヒスタミン薬が出ています。

直近では、ルパタジン(ルパフィン)という新しいお薬もあります。

 

なお、新しく販売されたお薬だから効果が優れるとは言い切れませんので、コストを勘案して選ばれると良いでしょう。

 

実際、第二世代抗ヒスタミン成分を含む薬剤間での効果の差はさほど大きくはないと考えられています。

 

例えば、ビラスチンは効果の側面では、セチリジンやフェキソフェナジンとほぼ同等であるものの、空腹時服用が条件化されているためかえって使いにくさがありますし(3)、直近で発売されたルパタジン(ルパフィン)にしても、症状の改善スコアはだいぶ前に発売されているオロパタジンに劣る可能性すらあるため(4)、単純に季節性のアレルギー症状に使うには新薬たるメリットが小さいように思われます。

 

 また、単純に季節性のアレルギー鼻炎に使うのであれば、これらの抗ヒスタミン剤よりもべクロメタゾンなどを含むステロイド性の点鼻薬(例:リノコート)の方が有効性が高いことや、点鼻に対して抗ヒスタミン剤を上乗せしても有意な上乗せ効果は期待しづらいことから症状が鼻炎のみの方は点鼻薬も視野に入れると良いでしょう(5)。

 

飲み薬で効果に大きな差がないのであれば、何を持って選択すれば良いのかという向きもあろうかと思います。

一般的には、眠気やインペアードパフォーマンスが少ないものが好んで使われます。

 

インペアードパフォーマンスとは、その中枢性の副作用により(ほとんどの場合無自覚に)集中力や生産性が低下した状態をいいます(6)。

 

自覚的に眠気があれば人は注意をしますが、無自覚のまま集中力が落ちるので(お酒を飲み酔っていないと思っていても無自覚に認知能力が低下するのと同じようなものです)、意識的に運転などを控えることが大切です。

 

フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジンなどはそうした副作用が少ないものの代表格です。

なお、眠気が強く出る方が効くような気がすると言われることがあるのですが、眠気と効果の強さに相関性はありません。

 

 また、よく耳にするのが「花粉症に備えて、薬の効きが出るまでに時間がかかるので、数週間前から抗ヒスタミン剤の服用を開始しましょう」というアドバイスですが、早期に服用しても花粉飛散時に服用開始しても症状改善スコアに有意差がないという研究があるため(7)、実際には症状が出てから服用しても遅くはありません。

 

鼻アレルギー診療ガイドラインにも、抗ヒスタミン薬とロイコトリエン拮抗薬について、花粉飛散予測日または症状が少しでも現れた時点で内服とする主旨の記載があります。

 

 ついでに言及しますと、小さなお子さんに何を使って良いものか悩まれる親御さんも多いように感じていますが、小児に使うことができる製剤も増えています。

 

6ヶ月以上で使用可のものがケトチフェン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、2歳以上ならオロパタジン等、3歳以上ならエピナスチン、ロラタジンなど適応症がある製剤が揃っています。効果の側面にフォーカスすると、セチリジンがロラタジンよりも鼻炎症状の改善効果がよく、フェキソフェナジンもロラタジンより症状改善スコアが良いようです(8、9)。

 

4.最近話題のアレルゲン免疫療法とは?

 これまで、飲み薬や点鼻薬を中心にその場の症状を抑えるお薬を紹介しました。

 

一方で、症状を引き起こすアレルゲンを継続的に摂取することで体を徐々に慣らし、症状を緩和させようとする治療法があります。それが、近年比較的メジャーになりつつあるアレルゲン免疫療法というもので花粉症向けで代表的なものとしてシダトレンというお薬があります。

 

同製品のインタビューフォーム(10)によれば、継続している人の7、8割程度で明確に効きが実感できるようで、長く続ければ治癒したと感じられる人も半数近くにのぼるとされています。

ただし、もしこの治療を希望されるのであれば、全員が根治するというわけではないことと、年単位に渡って毎日根気よく続ける必要があることを理解してはじめられた方が良いでしょう。

 

副作用を懸念される方もいらっしゃいますが、シダトレンは化学合成薬ではなく、自然界にあるスギ花粉から成分抽出されているものであるため、口の中が痒くなる、腫れるなど軽度なアレルギー反応そのものは起こり得ても、重度の皮膚症状や呼吸器症状などを伴うアナフィラキシーと呼ばれる強いアレルギー反応やショックが起きるリスクは極めて低く安全性は高いと考えられます。

 

なお、アレルゲン免疫療法は、アレルゲンに対して体が過敏になっている時期に開始することはできません。つまり、スギ花粉症の時期に辛くなったからといって、その時すぐに開始することはできないのです。

 

シダトレン舌下液の添付文書によれば、花粉が飛散していない時期に使用とされています。即ち春のスギやヒノキに対する花粉症の方であれば、体内免疫が落ち着く6、7月以降の開始が妥当でしょう。それに加えて、花粉飛散時期から3ヶ月以上前(およそ11月)までに始めることが効果や安全性の面で良いと考えられています。


長期間飲む必要があることにも注意が必要です。

 

体をアレルゲンに慣らすところから数年にわたり継続するのが一般的で、シダトレン製造メーカーの鳥居薬品によれば3年以上が推奨されており(11)、定期的な受診が求められます。最短ですと花粉飛散時期を2シーズン過ごせる期間なので最低でも1年3ヶ月以上、可能なら4、5シーズン続けます。

 

継続年数を追うごとに症状改善スコアが良くなる傾向があるのですが、継続が大変で途中でやめてしまう方も多いようです。

ただ、通院して定期的に皮下注射を行うより物理的には簡単であるため、症状が辛すぎる方、在宅で治療をしたい方、継続できる方はトライしてみても良いかと思います。



そんなに継続が大変なら、その時期だけ既存の薬物治療をすれば良いのではないかという声も聞こえてきそうですが、薬物療法と免疫療法を比較した結果、免疫療法の方が治療効果が高かったとする説もあります。

 

直接的比較ではないため、厳密には確信を持って言えませんが、少なくとも薬物療法で効果が不十分な患者に対する上乗せ効果は認められています(12)。なお、舌下投与ではなく飲み込むタイプの研究開発も進んでいるようですので、将来的にはより簡便になる可能性はあります。

 

5.最新の市販で購入できる花粉症薬

第一世代や第二世代の抗ヒスタミン剤や、ステロイド成分であるベクロメタゾンを含む点鼻薬は市販でも入手が可能です。

 

第一世代交代ヒスタミン成分を含む市販薬としては、鼻炎カプセルLP、鼻炎カプセルPE、アルガード鼻炎カプセルシリーズなどがあり、第二世代抗ヒスタミン成分を含む市販薬には、アレジオン10、アレグラEX、パブロン鼻炎カプセルZなどがあります。

 

ベクロメタゾンプロピオン酸エステルを配合した点鼻薬としてナザールARなどが知られています。基本的に成分は処方箋医薬品と同一ですので、それぞれ対応した処方箋医薬品と同等の効果が期待できます。

 

6.おわりに

花粉のアレルギー症状に対して、どんなお薬があり、最近はどのようなお薬があるのか大まかにご紹介してきました。

 

お薬では、舌下免疫療法と呼ばれる方法や、抗ヒスタミン薬、それらが市販薬にスイッチしたものなど色々あり相応の効果が期待できることはお分かり頂けたかと思います。病院に行けない時には、市販薬も検討に値しますし、もっと症状を楽にしたいのであれば長期的な取り組みとして舌下免疫療法もあります。

後者は、必ず医師への相談が必要ですので検討される場合は受診されると良いでしょう。

 

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