【小児科医監修】夏風邪のひとつ、プール熱(咽頭結膜熱)とは?治療薬を解説

夏風邪のひとつとされる、プール熱をご存知でしょうか?名前だけは知ってるけど、詳しいことはよく知らないという方もいらっしゃるかと思います。

今回は、プール熱の名前の由来やどのような病気なのか、などプール熱に関する基礎知識と、どのような治療薬があるのかを解説していきます。

お子さんがプール熱にかかってしまった場合や、学校で感染の拡がりが見られる場合などに参考にしていただけると幸いです。
※この情報は、2017年4月時点のものです。

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1.プール熱とは?

「プール熱」について、聞いたことはあるものの、実際にはどんな病気で、どんな対処をすれば良いか、知らない方も多いのではないでしょうか?

プール熱は、6月から10月ぐらい(6月ごろからみられ、7月〜8月ぐらいに流行のピーク)にかけてみられる夏風邪のひとつです。感染力が強く、子ども達の間で感染することが多い病気ですが、子どもだけに限らず、大人でも感染することがあります。

1-1. プール熱の原因

プール熱の正式な名称は、「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)」といいます。咽頭とは「喉」、結膜とは「目の充血」、熱とは「高熱」といったような意味を成しており、症状の特徴が名称の由来となっています。

では、なぜプール熱とよばれるか?というと、夏場、学校など、プールで遊んでいる子ども達の間で感染が拡がりやすいためです。プール熱は、「アデノウイルス」とよばれるウイルスの一種に感染することによって発症します。アデノウイルスは感染力が強く、プールを介して、ウイルスを含んでいる水が、目や口などの粘膜に触れることによって、体の中にウイルスが侵入し、感染します。

プールの中だけに限らず、タオル・マットの共有などウイルスに感染している方が触れたものに接触する(接触感染)や咳やくしゃみ(飛沫感染)によっても感染します。

患者の多くは、アデノウイルスに免疫がない小さなお子さん(5歳以下が約6割:感染症発生動向調査)ですが、免疫が備わっていない大人でも感染することがあります。

潜伏期間(ウイルスに感染してから症状が出るまでの期間)は、5〜7日間です。

1-2. プール熱の症状

主な症状は、
・高熱
・のどの痛み
・結膜炎(目の充血など)
です。

倦怠感とともに、39〜40℃の高熱が3〜5日間続きます。それに加えて、のどの腫れや痛みがひどく、また、目が充血し、目やにや涙がでるなどの症状も特徴的です。また、下痢や嘔吐などを伴うこともあります。稀ですが、髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症につながる可能性もあります。

上記の症状が見られ、プール熱が疑われる場合には、早く医療機関を受診し、正しい診断と適切な治療を受ける必要があります。受診し、可能性が疑われる場合には、咽頭をぬぐった綿棒で迅速検査キットを使って、その場でアデノウイルスの感染の有無を検査します。

プール熱の原因であるアデノウイルスは、知らずに普段通りの生活をしてしまうと、他の方に感染を拡げてしまう可能性があるため、早めに原因を特定することで、感染の拡大を防ぐことが重要です。

又、症状が良くなったとしても、しばらくは感染させてしまう可能性があるため注意が必要です。ちなみに、学校保健安全法では、主要症状がなくなった後も、2日を経過するまで出席停止することとされています。(感染の恐れがなければその限りではない)

 

プールは殺菌されているのになぜ?

プールを運営する上で環境衛生基準という決まりがあり、プール水の消毒管理の指標として遊離残留塩素(塩素消毒により、水中に殺菌力を示す形態の塩素のこと)があります。遊離残留塩素を一定の濃度に保持することによって、感染症の原因となるウイルスや細菌などを不活性化したり、殺菌することができます。そのため、この衛生基準を守ることによって、原因となるアデノウイルスにも効果を期待することができます。

しかし、

・プールの塩素濃度は所によって、基準値を下回る場所があるなど、偏りがある
・瞬時に殺菌されるわけではないため、殺菌作用が十分にはたらく前にプールに入る
・プール外で、タオルなどの共有やその他の感染経路によって感染する

といった理由から、感染する可能性はゼロとはいえないのです。

プール熱は、大人でもかかる?

プール熱の患者の多くは、子どもですが、大人でもかかることがあります。

大人の場合は、プールで感染することは少なく、二次感染といって、プール熱に感染しているお子さんの看病をしている中で、ウイルスに汚染されたものを触ったり、便や嘔吐物などをとおして感染することがあります。症状は子どもと変わらず、主に高熱、のどの痛み、結膜炎です。稀に重篤な病気を併発する可能性があるので、経過には注意が必要です。症状が見られる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

1-3. プール熱の他に夏場に増える感染症

一般的に三大夏風邪とよばれている感染症として、プール熱の他に、「手足口病」と「ヘルパンギーナ」があります。ともに、6月〜8月にかけて子どもを中心に感染が拡がる病気です。大人が感染することもあります。感染を拡げないためにも、症状が見られる場合にはすぐに病院を受診することと、感染症対策をとることが大切です。

①ヘルパンギーナ

エンテロウイルスと呼ばれるウイルスが原因となり発症し、発熱、のどの強い痛み(食べ物が飲み込みにくくなる)、体のだるさなどの症状が特徴的です。

②手足口病

ウイルスが原因となり発症し、口の中や手足などに水ぶくれできることが特徴的で、発熱を伴うこともあります。

2.プール熱に用いられる治療薬

2-1. 治療の流れ

実は、プール熱の原因となるアデノウイルス自体に有効な特効薬はありません。そのため、症状を和らげるための対症療法が基本です病院を受診し、プール熱であることが分かったら、症状が和らぐまで安静にし、他の方に感染を拡げないように注意しながら様子をみるようにします。

2-2. どのようなお薬がある?

プール熱の原因となるウイルス自体に有効な特効薬はないため、症状を和らげるために、熱を下げる解熱剤、のどの炎症をおさえるお薬、目の炎症をおさえる目薬などがメインで、症状に合わせて処方されます。

又、インフルエンザでは、予防方法として予防接種のワクチンがありますが、プール熱に対しては、ワクチンはありません。そのため、自ら予防の意識を高めて、病気にならないようにすることが大切です。

解熱剤

小さなお子さんによく処方される解熱剤としては、アセトアミノフェンを有効成分としたカロナールなどの飲み薬やアンヒバ坐剤などの坐薬があります。坐薬は、吸収が早いことや食事などの影響を受けない、吐き気などがあっても使用できるなどのメリットがあります。効果が穏やかであるため、お子さんでも安全に使用することができます。

基本的には、熱が高いときに屯用で使用するのが一般的です。熱が多少高くても、本人が元気そうであれば、使用せずに様子をみることも大切です。発熱することは、体をウイルスから守るための防御反応でもあるためです。

1度使用したら、4時間以上の間隔をあけて、様子をみるようにして下さい。解熱剤の量は、年齢や体重などによって変わってきます。同じお薬の名前だとしても、兄弟などでお薬を共有しないようにしましょう。

2-3. 市販薬は効果がある?

市販薬では対処ができません。

プール熱の症状が疑われる場合には、必ず医療機関を受診するようにしましょう。

感染を拡げないためにも、早めに検査・受診し、診断を受けることが重要です。また、高熱、下痢や嘔吐などを伴う場合には、脱水症状に注意が必要ですし、又、髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症を引き起こす可能性もあります。単なる風邪と自分で判断し、市販薬でどうにかしようとせずに、早めに病院に行くようにしましょう。

3.プール熱になったら注意すること

3-1. 脱水症状

プール熱は、夏場に起こりやすいことと、高熱がしばらく続き、人によっては下痢や嘔吐などの症状を伴うことから、脱水症状に注意する必要があります。また、のどの痛みが強く、

子どもが飲食をとれない場合には、より危険性が高まります。

特に、子どもの場合は、体の水分量が多く、水分量を調節する機能が発達していないため、脱水症状を起こしやすいといわれています。

・おしっこが少ない、出ていない
・くちびるが乾いている
・顔色が悪い、ぐったりしている
・泣いているけど涙がでていない

このような症状が見られる場合には、すぐに医療機関を受診するようにしてください。病院で、輸液の点滴により、水分や栄養分を補給してもらう必要があります。

対策としては、こまめに水分をとることはもちろんのこと、市販で販売されているような子ども用の経口補水液を購入して飲ませるようにすると良いでしょう。

3-2. 感染を拡げないために

プール熱の原因となるアデノウイルスは、感染力が強く、症状が治まったとしても、しばらくは感染が広がる危険があります。そのため、感染を拡げないように本人が意識することと、周囲の方が意識して予防を行うことが大切です。

次のような対策を心がけてください

・流水とせっけんによる手洗い、うがいを徹底する
・乳幼児が感染した場合は、オムツ替え時は、取り扱いに注意し、手洗いをしっかり行う
・感染者とタオルや洗面器などを共有しない(家族内では特に注意)
・プールの前後は、シャワーで体、目をしっかり洗い、うがいをする
・医師の許可が出るまでは、学校に行かない、プールに入らない

特に流行している時期は、感染を広げないように、予防対策を心がけましょう。

4.まとめ

今回は、プール熱に関する基礎知識と、どのような治療薬があるのかを解説しました。プール熱は、6月から10月ぐらいにかけてみられる夏風邪のひとつで、感染力が強く、子ども達の間で感染することが多い病気です。

感染を拡げないためにも、症状が疑われる場合には早めに医療機関を受診するようにしましょう。また、かかってしまった場合は、特効薬はないため、対症療法が主となるので、症状が和らぐまで体を休めることが大切です。

お子さんがプール熱になってしまったときに、少しでも参考になりますと幸いです。

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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