ステロイドの一種「プレドニゾロン」は怖い薬か?薬剤師の常識

「ステロイド」という言葉は、多くの人が一度は耳にしたことがあると思います。これは、体内にもともと存在するホルモンを薬にしたもので、とても多くの病気の治療に使用されます。プレドニゾロンは、ステロイドの代表格といってよい成分です。

我々医療者にとって、ステロイドはなじみ深いものですが、一方でそうでない一般の方には、正しく理解されていないことが極めて多い薬でもあります。薬剤師である私が、プレドニゾロンをはじめとしたステロイドをどう考えているのか、このコラムで説明したいと思います。
※この情報は、2018年4月時点のものです。

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1.お伝えしたいもっとも重要なこと

 このコラムを通じて、皆さんにお伝えしたい結論を最初に述べます。

 

プレドニゾロンに代表されるステロイドは、適切に使用すれば極めて効果的な薬です。現在、あなたがこの薬を持っているなら、それは医師・薬剤師が必要性・妥当性を認めたからです。指示された通りにご使用ください。服用中に生じた体調の変化は、すべて担当の医師・薬剤師に伝えることが重要です。勝手に薬を止めたり、飲み方を変更してはダメです。

 

以上です。ここまで読んでなるほど十分に納得した、という方はこれ以降に書かれている内容は読む必要がありません。とはいえ、なかなかそうはならないと推定されますので、上の記述の根拠となる内容・情報をここからご説明します。

 

なお、プレドニゾロンは飲み薬・注射・塗り薬・吸入用の液体など、さまざまな形がありますが、特に断らない限りこのコラムでは飲み薬・注射など全身に作用するものについて記述します。

 

2.ステロイドとは?

上でも触れましたが、プレドニゾロンは「ステロイド」と呼ばれるホルモンの一種です。

実際には、ステロイドとは特定の化学構造を持つ物質の総称で、とても多くの物質がこのグループに属することになります。

 

その中でも特に、「副腎」という臓器から分泌されるステロイドには多くの重要な生理活性があることから、これを特に「副腎皮質ステロイド」と呼びます (皮質とは臓器の表面近い部分を指す言葉です。ステロイドはここから分泌されます)。プレドニゾロンも、この副腎皮質ステロイドの一種です。

 

簡単にまとめるとプレドニゾロンには次のような作用があります (1)。

 

  • 抗炎症作用
  • 免疫抑制作用
  • 抗アレルギー作用
  • 糖質・タンパク質・脂質などの栄養素代謝に関する作用
  • 水・ミネラルの代謝に関する作用

 

このように、ステロイドは身体において重要なはたらきをいくつも担っており、これがなければヒトは生きていくことができません。

 

副腎からは「コルチゾール (または、ヒドロコルチゾン)」というステロイドが分泌されています (2)。

 

このコルチゾールをベースにして多くの合成ステロイドが開発され、現在の医療現場で汎用されています。その一つがプレドニゾロンです。そのため、基本的な性質はプレドニゾロンもその他の副腎皮質ステロイドも同じです。

 

これ以降の記述は、プレドニゾロンを含めた副腎皮質ステロイドに共通していえることだと捉えてください。

 

3.ステロイドの2つの作用

 生体から分泌される、いわば天然の副腎皮質ステロイドであるコルチゾールですが、実は「コートリル」や「サクシゾン」という名前で薬にもなっています。

 

しかしながら、医療現場で使用される頻度は、プレドニンをはじめとした合成品の方がはるかに高いのが現状です。これには、次のような理由があります。

 

副腎からは、コルチゾールの他にもう1種類のステロイドホルモンも分泌されています。

 

アルドステロン」という物質で、さきほど列挙した効果のうち「水・ミネラルの代謝に関する作用」に主に関与します (2)。

 

具体的には、ナトリウムというミネラルの排泄を抑制し、カリウムというミネラルの排泄を促します。また、生体において水はナトリウムと行動を共にする傾向があるため、体内に水を貯えるように機能します。こうしたはたらきを特に、ステロイドの「鉱質コルチコイド作用」と呼びます。

 

ちなみに、「鉱質」とはミネラル (電解質) のことです。

 

一方、上で挙げた鉱質コルチコイド作用以外のはたらき、つまり炎症を抑える・免疫機能を抑えるなどといった作用は、「糖質コルチコイド作用」といいます。「糖質」と名前がついているのは、血糖値を上昇させるはたらきなどもあるからです。副腎皮質ステロイドにはいずれも、これら糖質・鉱質の両方の作用があります。

 

 

ここで、副腎皮質ステロイドを治療に使う場合についていえば、主に期待するのは糖質コルチコイド作用の方です。

 

例えば、炎症を抑えることで関節リウマチにおける痛みをやわらげる、過剰な免疫反応を抑えることで自己免疫疾患 (自分の身体の臓器・組織に免疫機能がはたらいてしまう病気) における症状を改善する、などです。

 

他方、鉱質コルチコイド作用に関しては、治療においてあまり好ましくないことが多いものです。というのも、この作用によって身体に水が蓄えられると書きましたが、その結果として血圧が上昇するからです。高血圧がよくないことは、健診などでも盛んに強調されていることから、ご存知の方も多いでしょう。

 

こうしたことから、薬として使用するうえでは、糖質コルチコイド作用が強く、鉱質コルチコイド作用が弱いことが理想といえます。

 

そこで、コルチゾールの持つ糖質コルチコイド作用はそのまま、あるいは強めて、鉱質コルチコイド作用は弱くなるように改良されたのが、プレドニゾロンをはじめとした合成ステロイドというわけです。参考までに、プレドニゾロンはコルチゾールと比較して、糖質コルチコイド作用は4倍、鉱質コルチコイド作用は0.8倍になると知られています (3)。

 

4.ステロイドが使用される病気など

 プレドニゾロンは、「プレドニン」などの名前で販売されています。医薬品には、公的な説明書である「添付文書」というものがあり、これを見ると「効能・効果」という欄があります。これが、保険医療においてその薬を使用することが認められている病気や症状です。

 

さて、参考として「プレドニン錠」の添付文書を開いて「効能・効果」の欄を見てみると、ここには到底書ききれないほどの病気の名前が列挙されていることがわかります (4)。いいかえれば、プレドニゾロンが効果を発揮する病気や症状が、少なくともこれだけあるということで、この薬が臨床においてとても大切であることを感じ取っていただけると思います。

 

こうした事情から、個々の病気について逐一説明することはできませんが、非常に大まかにいえばプレドニゾロンは「炎症を抑える目的」で使用することが多いといえます。

 

「炎症」とは、例えば腕をどこかにぶつけた後に、その部分が腫れて赤くなってくる、あれのことです。この場合、ぶつけるという物理的な刺激が炎症を起こした原因ですが、これ以外にも病原体の感染、免疫機能の異常など、さまざまな原因で炎症は生じます。

 

プレドニゾロンをはじめとした副腎皮質ステロイドは、多くの病気における炎症を鎮める効果を持ちます。その結果、例えば関節リウマチでは関節の痛みがやわらぐ、気管支喘息では気道 (空気の通り道) の腫れが引くので呼吸が楽になる、といったことにつながります。

 

このほか、やや変わり種としては抗がん剤使用に伴う、吐き気を抑えるためにステロイドが使用されることがあります (5)。

 

抗がん剤には、程度の差こそあれ副作用として吐き気を生じるものが多いのが特徴です。そのため、一緒に吐き気止めが使われることがよくあるのですが、ステロイドもその中の一つです。どうしてステロイドで吐き気が止まるのか、そのメカニズムについては十分に分かっていないのが現状ですが、ともあれ有効であることは実際に使ってみた経験から間違いなくいえます。

 

プレドニゾロンなど、ステロイドの使い方には特徴的な点がいくつかあります。

 

 

  • 病気や症状によって使い方が大幅に異なる
  • 朝・昼・夜で飲む量が異なる場合がある

 

 

2-1. 病気や症状によって使い方が大幅に異なる

 今一度、さきほどの「添付文書」を見ると、「用法・用量」という欄に次のような記述があります (4)。

 

通常,成人にはプレドニゾロンとして1日5~60mgを1~4回に分割経口投与する。

 

つまり、最大・最小の投与量が12倍も異なるということです。しかも、これはあくまでも説明書上の最大・最小量であり、実際の臨床においてはもっと多い・少ない使い方をすることもあります。これは、単純に症状の程度に応じて調整というほか、副作用のリスクを低下させる意味合いからも重要です。典型的な例は、「パルス療法」という使い方です。これは、最初に大量のステロイドを短期間投与して、そこから段階的に量を減らしていく方法です。これによって、同じ量を続けるよりも、結果的に総投与量を削減することができるケースが多いものです。例を挙げれば、全身性血管炎などでこうした方法がとられるケースがあります (6)。反対に、関節リウマチなどでは少量を長期的に使った方がよいのが一般的です (7)。このように、ステロイドの飲み薬や注射は、その使い方が症例ごとに千差万別なのが特徴です。

 

 

2-2. 朝・昼・夜で飲む量が異なる場合がある

 例えば、1日6錠のプレドニゾロン錠を飲む場合、朝・昼・夕に2錠ずつという均等な割り振りではなく、朝4錠・昼2錠といった使い方をすることがあります。どうしてこのようなことをするのか、その理由はこういうことです。

 

ホルモンの種類によっては、その分泌量が時間によって変化することがあります。これにより生体のバイオリズムを保つわけですが、ステロイドにも同じことがいえます。具体的には、副腎皮質ステロイドの分泌量は、午前中に多く、夕方や夜にかけて少なくなります。ステロイドには、大きくいえば生体の活動を活発にするはたらきがありますから、朝起きて夜寝る、というヒトの自然な行動パターンにかみ合っています。

 

ここまでいえばもうお分かりと思いますが、上で述べた不均等な飲み方は、こうした自然なステロイド分泌の生体リズムに合わせることが目的です。これによって、後述する不眠などの副作用を生じにくくすることができます。

 

5.ステロイドの副作用について

 薬剤師として仕事をしていると、ステロイドの副作用に関しては、本当に頻繁に質問されます。

この原因はいろいろとあるでしょうが、過去にメディアが繰り返しこの問題を取り上げた結果、多くの市民に「ステロイド=副作用」というイメージを植え付けたことが大きく影響していることはいえると思います。

 

それはさておき、ステロイドに限らず薬の副作用に関して患者が質問する際に、「○○は怖い薬ですか?」とか「これはきつい薬ですか?」といった表現がなされることがよくあります。

 

しかしながら、ストレートにいってしまえば、こうした質問には意味がありません。

 

なぜなら、薬の効果・副作用は成分そのものだけでなく、量や使い方にも依存するものだからです。

臨床的な常識を逸脱した大量を用いれば、どのような薬も危険であり、反対に実験室レベルで非常に強力な生理活性を示す物質であっても、極々微量を摂取しただけならば現実的な問題はまず起きません。

 

「いや、そんな量的なレベルの話じゃなくて、本質的・絶対的に身体によくないんじゃないか?ということを聞きたいんだ」と思うかもしれませんが、そんな物質はそもそも医薬品として承認されるわけがありませんから、これは完全な杞憂といえます。

 

したがって、「ステロイドは危険か?怖い薬か?」という問い自体が無意味です。

 

臨床的な有効性に関しては、上で何度も述べている通りですから、適切に使用すれば有用な薬です。反対に、適切でない使い方をすれば危険です。

 

ただし、これらはステロイド以外のどんな薬についてもいえることです。

 

薬を使う理由は、突き詰めればそれによって得られるメリット (治療効果など) が、デメリット (副作用・経済的負担など) を上回るからに尽きます。

 

ステロイドの場合、デメリットが強調された情報が多く出回っているのが実情ですが、メリットも大きい薬です。現にあなたにステロイドの処方が行われているということは、これを使用するメリットがデメリットを上回ると医師・薬剤師に判断されたことを意味します。その意味では、指示された使用法を守ることがトータルでのリスクを最小化することにつながると考えて間違いありません。

 

これから述べるように、ステロイドには多くの種類の副作用が存在するのは事実です (8, 9)。しかし、多くの副作用はステロイドの投与を中止したり、量を減らすことで改善できることを最初に強調しておきます。発症の時期に着眼してステロイドの副作用を分類した場合、

 

A 短期的に起こるもの

B 長期間継続してはじめて起こるもの

 

の2つに大別することができます。ステロイドは数多くの病気・症状に使用する薬ですから、使用目的によって投与期間もまちまちです。

 

こうした事情から、ケースごとに注意すべき副作用も異なってきます。例えば、のどの腫れを鎮める目的で使う場合、使用期間はたいてい数日あるいは1回だけという場合すらあります (10)。

 

このとき「B」は事実上無視できますから、もっぱら「A」に気を付ければよくなります。他方、例えば自己免疫性疾患で免疫機能を抑える目的で使用する場合、どうしても服用期間が長期化しますから「B」の副作用に対する注意も必要になります。

 

なお、どの程度の時間をもって「短期間」あるいは「長期間」というかには確定した基準はありません。

 

しかしながら、一般的には「短期間」とは数日から数週間程度、「長期間」とは月単位あるいは年単位での使用と考えておおむね問題ありません。また、大量に使えばその分副作用は起こりやすく、程度も重症化しやすいのが普通です。特に長期間の使用をする場合、必要最小限の量に減らすことで多くの副作用は改善します。

 

 

A 短期的に起こるもの

 ①消化性潰瘍

 いわゆる「胃潰瘍」などのことで、主に上腹部の痛みを生じます。

 

これは、ステロイドに胃酸の分泌を促進する効果、そして胃の粘膜を守る物質の量を減らす効果があるからです。

 

潰瘍を形成するまでにはある程度の時間がかかるのが普通ですが、胃の痛みなどは投与開始後数日以内などのもっと早い時期に生じることもあります。つまり簡単にいえば、ステロイドは胃にある程度の負担をかける薬です。

 

しかし、こうした薬は他にもたくさんあり (ある種の痛み止めなど)、胃薬を一緒に使用することでほとんどのケースで対処可能です。したがって、ステロイドによる消化性潰瘍への対策も同じです。

 

不眠

上で書きましたが、ステロイドは身体活動を活発にする関係上、副作用として眠気を生じる場合があります。これへの対処法も上で書いた通りですが、飲むタイミングを朝の方にずらすことが有効です。

 

 

B 長期間継続してはじめて起こるもの

免疫機能の低下

 これまで何度か触れているように、ステロイドには免疫機能を抑制するはたらきがあります。

 

そのため、自己免疫疾患などで過剰になった免疫機能を抑えるために使用されるのですが、そうでない病気・症状に使う場合はこれがそのまま副作用になりえます。つまり、各種の感染症にかかりやすくなります。

 

日常生活においてよく起こる感染症は、いわゆる風邪やインフルエンザなど呼吸器関連のものです。したがって、人込みを避ける・マスクを着用する・手洗いなど衛生手技をしっかり行うなどが自分でできる対処法として重要です。

 

また、ステロイドを特に大量に使用する場合には、予防的に抗菌薬 (「ST合剤」というものなどが一般的です) を使うケースもあります。

 

糖尿病

 ステロイドに血糖値を上昇させる作用があることはすでに紹介しました。

 

これの程度が過ぎると、糖尿病といえる状態に至ります。基本としては、定期的な検査を行って早期発見し、食事内容を見直したりすることで対処します。場合によっては、血糖値を下げる薬を用いることもあります (11)。

 

体型に関連するもの

 ステロイドには筋肉や脂肪組織に対する作用も知られています。

 

具体的には、筋肉は萎縮する方向に、脂肪は蓄える方向にはたらきます。また、こうした影響を相対的に受けやすい部位があります。

 

具体的には、筋肉の萎縮は四肢に、脂肪の沈着は体幹や肩に多く生じます。この結果、おなかや背中には脂肪が増えて太くなり、反対に手足は筋肉が萎縮して細くなります。また、肩に脂肪がたまるため、その部位だけが盛り上がったようになります (「野牛肩」などと呼ぶことがあります)。その他、顔のむくみ (ムーンフェイス) などが知られています。

骨粗鬆症

 骨粗鬆症とは、骨がもろくなり骨折しやすくなった状態をいいます。

ステロイドは骨の代謝に対して影響を与え、強度を低下させる方向にはたらきます。対処法としては、やはり定期的に骨密度等の検査を受け、早期に異常を発見することが重要です。幸い、いくつかの薬がステロイドによって生じる骨粗鬆症に有効であることが知られているため、こうした薬を併用することで悪化を食い止めることができます (12)。

 ⑤目に関連するもの

 具体的には、緑内障と白内障が挙げられます。よく似た名前ですが、緑内障は眼圧が上昇し放置すると視野の欠損につながるもの、白内障は目の水晶体 (レンズにあたる部分) が濁って見えにくくなるものです。

 

対策としては、それぞれの病気に使用する目薬を併用することが挙げられます。また、眼圧その他の目に関する検査は、特殊な器具や手技が必要なため、眼科にも受診する必要が生じることがあります。

 

ステロイド離脱症候群

 これは単純にステロイドの使用を続けているだけでは基本的に生じません。ステロイドを長期間使用して、かつそれを急にやめたり量を一気に減らした場合に起こります。

 

こうした副作用が生じる仕組みは、次のようなものです。ステロイドが副腎から分泌されている話はさきほどしました。

 

ここに、薬としてステロイドを服用すると、元から分泌されていた分にプラスして、外から投与した分が加算される形になります。ステロイドを含めたホルモン量は、多すぎても少なすぎてもよくないため、身体にはこれを監視し、必要に応じて分泌量を調整する仕組みが備わっています。

 

長期間ステロイドの服用を続けていると、元の分泌量を継続していてはオーバーになりますから、身体はこれを下方修正します。

 

ここでステロイドを飲むのを止めると、上乗せ分がいきなりなくなるので、下方修正された分泌量では足りなくなります。こうした、必要量に対するステロイド分泌量相対的な不足によって、さまざまな症状が起きてくるわけです。

 

具体的な症状としては、身体のだるさ・頭痛・関節痛・発熱などがあります。ただし、上のような仕組みを理解していれば対策は比較的シンプルです。

 

すなわち、急に投与量を減らさず、少しずつ減らしていけばよいのです。具体的な方法としては、1日あたりの量を少しずつ減らす方法や、毎日飲んでいたものを1日おきにする方法など、いくつかのバリエーションがあります。

 

プレドニゾロンの錠剤は、通常5mgのものが使用されます (1錠の中に、有効成分であるプレドニゾロンが5mg含まれる、ということです)。ところが、他にも2.5mgや1mgの錠剤もあり、こうした製剤が投与量を徐々に減らしていく場合に役立ちます。

 

なお、例えば1日2.5mgのプレドニゾロンを服用する場合、5mgの錠剤を半分に割る方法もあります。

 

しかし、薬剤師としていわせていただければ、これはあまり勧められるものではありません。なぜなら、プレドニゾロンなどのステロイドは味が非常に苦いからです。通常、錠剤の表面には滑らかなコーティングが施されており、普通に水で飲み込む場合に、薬そのものの味を感じないようになっています。

 

しかし、錠剤を半分に割ると、その断面はむき出しになりますから、舌に触れると味を感じます。よって、この場合はじめから2.5mgを含んだ錠剤を使った方が服用時の苦痛は減ります。

 

6.内服・注射以外のステロイド

 このコラムでは、飲み薬や注射薬として使用されるステロイドについて説明してきました。

しかし、実臨床においてはこれら以外に、塗り薬や吸入などの形でステロイドが使用される機会も多いものです。飲み薬・注射の場合、投与された有効成分は全身にいきわたりますが、塗り薬や吸入の場合は投与した部位に限定的に作用します。

 

こうしたことから、塗り薬や吸入などを総称して「局所製剤」などと呼ぶことがあります。

 

一般に、局所製剤であれば上で挙げたような副作用はまず生じません。例えば塗り薬の場合、塗った部位から血液中まで移行する量は極めて少ないからです。そのため、同じ「ステロイド」という名前がついていても、局所製剤と今回紹介した飲み薬・注射はまったく性質が異なるのだと思っていただいて問題ありません。

 

7.まとめ

 全身作用を期待するステロイドには、多くの種類の副作用があることは、これまで説明した通りです。

その関係上、この薬について網羅的に説明するとどうしても副作用についての記述が多くなりがちです。しかしながら、繰り返しになりますが薬はそのメリット・デメリットのバランスで使う・使わない、を決定するものです。

 

そのため、デメリットばかりを過度に意識するのは得策ではありません。指示された使い方をきっちりと守り、服用中に生じた体調の変化はすべて医師・薬剤師に伝える、これがもっとも有効かつ現実的な対処法です。

 

そのほか、ステロイドの使い方は個々の症例でまちまちであることも、これまで繰り返し説明してきました。したがって、このコラムを含めた一般論的な説明にはおのずから限界があります。インターネットや書籍といった情報源を参考にすること自体は有用ですが、それは文字通り参考までにとどめるべきで、現実にあなたの治療に携わる医療者からの説明を超える物には決してなり得ません。この点を肝に銘じたうえで、本コラムは活用していただきますよう、最後にお願いいたします。

 

■プレドニゾロンは「ステロイド」というグループに属する薬の代表的なもののひとつである

 

■ステロイドは、炎症や免疫機能の抑制などを目的に、極めて多くの病気に使用され有効性は高い

 

■ステロイドには数多くの副作用が知られているが、通常は適切な対処により改善するものがほとんどである

 

■ステロイドの具体的な使い方は、病気・状態などによって千差万別である

 

■本コラムに書かれた内容が、主治医や薬剤師の説明と異なる場合は、迷わず後者を信用する

 

8.参考文献

  1. 赤池昭紀他 疾患別薬理学第4版 廣川書店
  2. 上代淑人監訳 ハーパー・生化学原書第25版 丸善株式会社
  3. 川合眞一 ステロイド内服薬の選び方・使い方 アレルギー 58(1);7-12.2009
  4. プレドニン錠5mg 添付文書 塩野義製薬株式会社
  5. 日本癌治療学会 がん診療ガイドライン 制吐療法診療ガイドライン
  6. Hashino K, et al. Pediatr Int. 2001 Jun;43(3):211-7. PMID: 11380911
  7. Bakker MF, et al. Ann Intern Med. 2012 Mar 6;156(5):329-39. PMID: 22393128
  8. Ruiz-Irastorza G, et al. Rheumatology (Oxford). 2012 Jul;51(7):1145-53. PMID: 22271756
  9. Sciascia S, et al. Clin Drug Investig. 2017 Jun;37(6):519-524. PMID: 28357813
  10. Sadeghirad B, et al. BMJ. 2017 Sep 20;358:j3887. PMID: 28931508
  11. Wallace MD, et al. Ann Pharmacother. 2018 Jan;52(1):86-90. PMID: 28836444
  12. Buckley L, et al. Arthritis Rheumatol. 2017 Aug;69(8):1521-1537. PMID: 28585373

 

 

 

執筆
薬剤師:黒田 真生
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