【産婦人科医監修】妊娠中の食事、摂るべき・避けるべき食べ物を栄養士が解説

妊婦さんが食べたものは、直接お腹の赤ちゃんの栄養になります。

自分だけでなく赤ちゃんと2人分の栄養になると考えると、健康に育ってくれるような食事をできるだけしたいと思いますよね。
また、妊娠前の食事と同じで良いのか、不安になる方も多いと思います。

まずは妊娠中に不足しやすく、積極的に摂ってほしい栄養素がありますので、食材の例と共に見ていきます。また、赤ちゃんの成長に影響を与える可能性があるため、控えることをお勧めする食べ物もありますので覚えておきましょう。

妊娠中の食事で一番大切なのはなんといっても、バランスよく様々な栄養素を摂ること!「これだけを食べれば良い」というものはありません。とはいえバランス良く食べるって、具体的にどんな食事をすればよいのかイメージしづらいですよね。妊娠中の理想的な食事の例についてもご紹介します。

また、つわりがひどく食べられない時、逆に食べないと気持ちが悪くなるときの食事のポイントについてもお伝えしていきます。

ここで少しでも食事面の不安を解消し、産まれてくる赤ちゃんを楽しみに待つ時間を増やしましょうね。
※この情報は、2017年4月時点のものです。

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1.妊娠中の食事に注意、避けたほうが良い食べ物

妊娠中に食べてはいけない食品は、基本的にはありません。ですが、胎児に影響する可能性がある為少し注意が必要なものがありますので覚えておきましょう。妊娠中に注意が必要な食べ物は、大きく分けて2つです。

 

ひとつめは、リステリア菌による食中毒の原因となる食品。妊婦さんは、一般の人よりもリステリア菌に感染しやすくなります。

 

このリステリア菌は食品を介して感染する食中毒菌で、塩分に強く、冷蔵庫の中でも増殖します。感染してしまうと胎児に影響が出る可能性がありますので、リステリア食中毒の主な原因となる下記の食品には注意が必要です。

 

・加熱殺菌していないナチュラルチーズ
・肉や魚のパテ
・生ハム
・スモークサーモン

 

リステリア食中毒は他の食中毒菌と同様に、加熱することで防げます。冷蔵庫に保存していても期限内に使い切ることはもちろん、十分加熱してから食べるようにしましょう。

 

ふたつめは、水銀を多く含む魚類です。

 

魚は良質なたんぱく源であり、血液をサラサラにするDHAやEPA、骨や歯を作るカルシウムなどが豊富に含まれる、妊娠中のお食事にも欠かせない食品です。ですが、魚の中には食物連鎖により水銀を多く含む種類のものがあり、摂りすぎてしまうと胎児の成長に影響が出る可能性が指摘されているので注意が必要です。

 

摂取量に気を付ける魚は、主に食物連鎖の上の方にいる大きな魚です。食べてはいけないわけではないので、下記の目安量を参考に食べ過ぎないよう注意していきましょう。

 

■1週間に1切れ(約80g)まで
キンメダイ

メカジキ
クロマグロ(本マグロ)
メバチ(メバチマグロ)

エッチュウバイガイ
マッコウクジラ
ツチクジラ

▲1週間に2切れまで
キダイ
マカジキ
ユメカサゴ
ミナミマグロ(インドマグロ)
ヨシキリザメ
イシイルカ
クロムツ

※上記■▲を合わせた摂取量に注意してください。
例えば■を1切れ食べたら、その週は■▲共に控えます。
■を1切れの半分(40g)+▲を1切れであれば1週間の摂取量としてokです。

特に注意が必要でない下記の魚をうまく取り入れて、バランスよく食べましょう。

◎注意が必要でない魚
キハダ 

ビンナガ 
メジマグロ 
ツナ缶 
サケ 
アジ 
サバ 
イワシ 
サンマ 
タイ 
ブリ 
カツオなど

 

2.妊娠中に不足しがちな栄養素3つ

次は、妊娠中に不足しがちなので気を付けるべき栄養素について説明します。
妊婦さんは通常時よりも多くの栄養素が必要になるので、バランスよく様々な食材から色々な栄養祖を摂ることがまず大前提ですが、特に気を付けていただきたい栄養素が3つあります。

 

葉酸、カルシウム、鉄分。この3つについてご説明します。

①葉酸

葉酸は野菜や果物に多く含まれる、ビタミンB群の一種です。妊娠初期に葉酸を適量摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害リスクを低減する効果が期待できると言われています。

 

神経管閉鎖障害とは、主に妊娠4週~5週間後に胎児の脳や神経管(脊髄のもと)が正常に作られなくなる障害のことです。受胎前後の葉酸摂取が神経管閉鎖障害のリスク低減に有効であることは多くの研究が明らかにしていますが、妊娠が判明するころには既に神経管が形成されていることもあるため、妊娠前より積極的に摂っておく必要があります。

 

厚生労働省では、「妊娠を希望している女性は1日に400㎍の葉酸を摂ることが望ましい」としています。ですが、葉酸は熱に弱く水溶性なので調理すると50パーセント近くが失われ、更に体内での利用効率は50パーセント程度。妊娠前からサプリメント等で葉酸を補給することも勧められています。ですが摂れば摂るほど良いというものではないので、1日1,000㎍を超えないよう注意しましょう。

 

野菜や果物を極端に多く摂ったりサプリメントを大量に飲むのではなく、野菜の量は1日350gを目安に摂取し、+αでサプリメントから摂り入れるようにすると良いですね。

 

葉酸を多く含む食品(100g中)
えだまめ(ゆで) 260㎍

アスパラガス(ゆで) 180㎍
ブロッコリー(ゆで) 120㎍
ほうれん草(ゆで) 110㎍
とうもろこし(ゆで) 86㎍
いちご 90㎍
アボカド 84㎍
マンゴー 84㎍
納豆 120㎍
ひよこ豆 110㎍

 

②カルシウム

日本人の食事摂取基準では、妊娠中のカルシウム摂取推奨量は通常時と変わりません。
ですが、国民健康・栄養調査によるとカルシウムはほとんどの世代で推奨量に届いていないと報告されています。普段から摂取不足になりやすい栄養素なのです。

 

妊娠時にカルシウムが不足すると、お母さんの骨や歯からカルシウムが溶け出し胎児へと運ばれます。カルシウム不足は骨や歯をもろくするだけでなく、イライラの原因にもなります。

 

お母さんと胎児、両方の骨や歯の健康の為に、妊娠中はいつも以上にカルシウム摂取を心がけましょう。

 

カルシウムが多くとれる食品(成人女子の1日の推奨量650mg)

 

食品群

食品名

摂取量

カルシウム含有量

牛乳・乳製品

牛乳

コップ1杯(200g)

220mg

ヨーグルト

1パック(100g)

120mg

プロセスチーズ

1切れ(20g)

126mg

野菜類

小松菜

1/4束(70g)

119mg

菜の花

1/4束(50g)

80mg

水菜

1/4束(50g)

105mg

切り干し大根

煮物1食分(15g)

81mg

海藻

ひじき

煮物1食分(10g)

140mg

小魚

さくらえび(素干し)

大さじ1杯(5g)

100mg

ししゃも

3尾(45g)

149mg

豆類

木綿豆腐

約1/2丁(150g)

180mg

納豆

1パック(50g)

45mg

厚揚げ

1/2枚(100g)

240mg

参考:農林水産省 みんなの食育 大切な栄養素カルシウム

 

③鉄分

妊娠中は胎児の成長や胎盤への血液供給に多くの鉄分が必要となり、鉄欠乏性貧血に陥りやすくなります。成人女性の鉄分の1日の推奨量は約6mg、月経時があるときは10.5mgです。

 

妊娠中は、特に中期~後期で多くの鉄分を必要とします。

通常よりどのくらい多く摂ればよいのかというと、
妊娠初期:+2.5mg
妊娠中期・後期:+15mg
鉄分もカルシウム同様、普段の生活の中で不足しやすい栄養素です。妊娠中は特に鉄分不足に気を付けましょう。

 

鉄分には吸収率の良いヘム鉄と非ヘム鉄があり、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂ると吸収率が上がります。
レバーは鉄分も葉酸も豊富ですが、ビタミンA摂取過剰になってしまう可能性があるので注意してください。

 

一回使用料あたりの鉄分の含有量

参考:東京都病院経営本部 食事療法のすすめ方 貧血の食事

3.妊娠初期・中期・後期それぞれの食事の注意点

お食事で注意するポイントは、妊娠の前期・注意・後期でそれぞれ少しずつ違います。
妊娠中を通して気を付けることとあわせて紹介していきます。

 

①妊娠初期

「妊娠したら2人分食べないと」なんて言葉をよく耳にしますが、妊娠初期は通常のお食事より多く食べる必要はありません。量を変えるよりも、中身のバランスを整えていきましょう。できるだけ多くの食材から色々な栄養素が摂れるよう、主食・主菜・副菜を揃えます。

先にご紹介した葉酸の摂取に特に注意するのもこの時期です。

 

②妊娠中期

必要となる栄養素が増え、お食事の量も少し増やす必要があります。目安としては、主菜・副菜・果物を1日プラス1品。ただし、体重増加が望ましいペースかどうか確認しながら調節しましょう。

この時期に食べすぎて体重が増えすぎてしまうと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高まります。

③妊娠後期

この時期は、主食・主菜・副菜・乳製品・果物を1日1品ほどプラスします。胃が圧迫されてすぐにお腹いっぱいになってしまうときは、数回に分けて食事を摂りましょう。食欲が出ても体重が増えすぎないよう気を付けて、お菓子などはできるだけ控え、引き続きバランスの良い食事をしっかり摂るようにします。

 

健康な赤ちゃんを産むためには、体重を適正に保っておくことも重要です。特に痩せは低体重児出生に繋がることがありますので、妊娠前から適正体重に近づけておくことが大事。自分のBMIを知って、妊娠中の体重増加も適正に保ちましょう。

 

また、妊娠中を通して食中毒に気を付けましょう。

 

お買い物や料理の際は消費期限を確認する。帰宅したらすぐに冷蔵庫にしまう。調理前・食事前は手洗いを徹底する。食材は十分加熱する(目安は中心部の温度が75℃で1分以上)。長時間室温に放置しない。など普段よりも注意が必要です。

4.バランス良く食べるには…2つのポイントを伝授

バランスよく食べましょうと言われても、それってどんな食事?と悩まれる方も多いと思います。
簡単にチェックできる3つの方法がありますので、目安にしてみてくださいね。

 

①一汁三菜

必要な栄養素を摂取するには、できるだけ多くの食材を食べる事が重要です。毎食できるだけ多くの品目を摂るよう意識しましょう。おかずが多く自然と色々な食材が摂れる一汁三菜は理想の食事スタイルです。

 

②炭水化物・たんぱく質・野菜の量を手で確認

●炭水化物(ご飯、パン、麺など)は両手を合わせて水をすくうようにお椀を作り、軽く一杯が一食分の目安。ただし、ご飯の量など医師より指示がある場合は、ご自身で何度か計量してみてその量を覚えて守るようにしましょう。


●たんぱく質(肉、魚、大豆製品など)は指を閉じた片手の手のひら一枚分、厚さは1cm程度が一食分の目安。


●野菜は指を大きく開いた両手にどっさりのる量が1日の摂取量の目安です。

炭水化物がちょっと多いな、たんぱく質は足りていないな…等ご自身の手で確認してみましょう。
※上記は通常時のお食事の目安量なので、妊娠中期・後期はこれにプラスして食べる事が必要です。

5.妊娠中の理想的な食事の例

妊産婦のための食事バランスガイド(参考:厚生労働省)をもとに献立を考えてみました。
妊婦さんの体重の増え方によっても食べ方は変わるので、あくまでも目安として参考にしてくださいね。

 

朝食

チーズトースト2枚(6枚切り)
目玉焼き
野菜サラダ
りんご半分

昼食

親子丼
豚汁

おやつ

みかん1個

 

夕食

ご飯普通盛り一杯
焼き魚
味噌汁
芋の煮っ転がし
きゅうりとわかめの酢の物

 

☆妊娠中期は昼食にサラダ、夕食に冷ややっこと桃1個をプラス。
☆妊娠後期は中期の献立に更に朝食に牛乳1杯、おやつにロールパン2個をプラス。

 

6.妊娠中つわりがつらいときの食事、どうすれば良い?

つわりは多くの場合妊娠初期に見られる症状で、その症状には個人差があります。原因は解明されておらず、つわりがない人もいます。つわりの症状があるときは「バランスよく3食食べる」にとらわれず、症状に合わせて食べ方を変え、乗り切っていきましょう。

 

空腹時に吐き気を感じてしまう場合は、食べ過ぎに注意し小まめに食べるようにします。食事を何回かに分けて食べるイメージでも良いですし、おにぎりや果物、ゼリーやプリンなどの間食も取り入れながら乗り切りましょう。一般的には夜遅くは食べてはいけないと言われますが、夕食から朝食までの時間が長いことにより朝吐き気を感じてしまうこともあるため、夜に小さなおにぎりなど食べても良いでしょう。

 

逆に食べると吐いてしまったり、特定の食品のにおいで気持ちが悪くなったり、ひどい場合には水も飲めなくなる場合があります。「赤ちゃんのために食べないと」と思い詰めず、レモンやお酢などの酸味を利用するなど工夫しながら食べられるものを探してみましょう。水分補給はしっかりと。妊娠初期に必要な葉酸は、食事が食べられないときにはサプリメントなどの栄養補助食品から摂るのも良いですね。

 

食事がほとんど食べられない、水も飲めないなどつわりがひどい場合には「悪阻」という病気なので治療が必要になる場合もありますので、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

妊娠中はいつも以上に食事のことが気になるかと思いますが、あまり「これを食べると良い」という情報にとらわれ過ぎず、偏食を避けバランスよく様々な食材を食べましょう。普段の食生活を見直すチャンスでもありますね。バランスよく食べる意識はお子さんが産まれた後、家族の健康の為にも役立ちます。

 

また、適正体重を保つことも重要です。ご自身のBMIを確認し、適正な体重増加ができているか確認しながらお食事を調節しましょう。とはいえ人の体はそれぞれ違います。同じ食事をしても、太る人もいれば痩せる人もいます。つわりの症状も人によって様々なので、無理をせず食べられるものを食べ、ストレスを溜めすぎないようにしましょう。つわりがひどい場合は医師や助産師、栄養士に相談してくださいね。

 

執筆
管理栄養士:塚原 絵理
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