【妊婦の方必見】妊娠中の花粉症対策、お薬は飲んでもOK?その注意点を解説

山﨑友樹

※この記事を読んでいただいている皆様へ

現在、「くすりの窓口」にて、処方せんネット予約サービスの普及の為に、皆様から利用したいと思う薬局をお答えいただいております。
60秒程のアンケートにお答えいただき、ご協力いただいた方には 全員に500円分のAmazonギフトコードを必ずプレゼントさせていただいております。
(2017/12/25現在、224,000人にの方にご回答をいただいております。)
ぜひアンケートにご協力ください。

今すぐアンケートに答える>

くすりの相談室運営事務局

 

毎年花粉症がひどくてつらい、妊娠してお薬が飲めない場合はどうすれば良いのだろう・・、他の妊婦さんはどうしているのか、など不安を感じている方もいるかもしれません。

赤ちゃんへの影響を心配され、お薬の服用を避けたいと思うのが一般的ですが、必要に応じて、我慢せずにお薬を服用することでお母さんの身体的・精神的な負担を和らげることも大切です。その場合は、妊娠の時期を考慮し、赤ちゃんへの影響が少ない、安全性が高いお薬が選択されます。今回は、妊娠中の花粉症との向き合い方から、妊婦は花粉症のお薬を飲んでも大丈夫かどうか、又、注意点についてもあわせて説明していきます。

※この情報は、2018年2月時点のものです。

1. 妊娠中は花粉症がひどくなるって本当?

花粉症の主な症状として、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが知られています。では、これらの症状は妊娠を機に悪化することがあるのでしょうか。ホルモンバランスの劇的な変化もあり、実際にそう感じられる方も一定数いらっしゃると思いますが実際のところは一概には言えません。

 

元々あった鼻炎が悪化するケース、改善するケース、状態が変わらないケースとそれぞれが大差ない割合で存在するのです(1)。因みに、妊娠中の喘息においても同様の傾向が見られます(2)。何かこの鼻炎と喘息という両者の疾患に共通した因子に何らかの要因があるのかもしれませんね。

 

2.一般的な妊娠中の花粉症との向き合い方

花粉症で鼻炎が悪化したからといって、直接出産の結果に影響を及ぼすというわけではありません(3)が、鼻づまりや眼の痒みがあるととてもストレスで、睡眠や生活にも悪影響が出て良くないですよね。妊娠中でも安全に飲むことができる薬もありますが、その前にできる対策をいくつか紹介しましょう。

 

2-1. アレルゲンを避ける

花粉症に限ったことではありませんが、アレルギー性疾患ではアレルゲンを避けるのは基本です。鼻アレルギー診療ガイドラインにもそうした主旨の記載があります。具体的には、マスクやめがね、そして忘れがちですが帽子も有効です。できればなるべくツルツルした材質のものが良いでしょう。これで髪の毛に花粉が落ちるのを回避できます。

また、家の中に花粉を持ち帰らないように、できる限り花粉を玄関の外で払い窓を閉めるなどをしても良いでしょう。また、生活上できる工夫として服を外で乾かさない、シャワーを浴びるのを就寝前にするなどがあります。

 

2-2. 鼻への刺激を控える

花粉症の時期は鼻の粘膜が敏感になりがちです。冷たい空気、強い香水、整髪料、タバコの臭いなどに過敏に反応します。避けられないものもあるかもしれませんが、なるべく遠ざけましょう。鼻粘膜を通したアレルゲンの吸収を物理的にブロックする方法として、鼻粘膜に直接ワセリンや鼻腔用粉末を塗布する方法もあります。これらは従来の治療と比較されたわけではなく、相対的な有効性は不明ですが、比較的有効と感じられる方が多いようです。(13)

 

2-3. 鼻をかみすぎない

必要以上に鼻を強くかまないことも大切です。何となく習慣的にかんでいると鼻粘膜が荒れ、かえって症状を悪化させかねません。なお、交感神経を刺激して血管を収縮させるテトラヒドロゾリンやナファゾリンといった成分を含む点鼻薬の連用でも、使用後の反動で血管が拡がって鼻づまりを悪化させるケースがあります。適度に使えば有効なのですが、もしこうなった場合は中止が必要です。

 

2-4. 炎症反応を緩和する食材や栄養素をとる

青魚に含まれる油分(オメガ3系脂肪酸)が炎症やアレルギーを緩和するという説があります(5)。処方箋医薬品であればエパデール、ロトリガなどが該当成分を含みますが適応症が高脂血症ですので基本的にアレルギー症状に処方されることはありません。サプリメントもありますので、質の高いものを選んで取り入れても良いかもしれません。ただし、急性の症状に対して劇的な効果が期待できるわけではありません。

 

また、ビタミン剤はどうかということで、ビタミンEやCで鼻炎が改善するか検討した試験もあるのですが、こちらも有意な症状改善が見られる訳ではないようです(5、6、7 )。また、アレルギーは腸から起こるということが良く言われますが、カゼイ菌や発酵乳の摂取でアレルギー性鼻炎が改善したとする試験はいくつかあります(8、9)。いずれもすぐに大きな効果が期待できるとは言えませんが、長期的な取り組みとしては検討に値するのかもしれません。

 

2-5. 花粉の飛ぶ時間を知る

環境省の花粉症環境保健マニュアル(10)によれば、花粉の飛ぶ時間帯には1日のうちに昼前後と日没後とピークが2回あります。時間帯でいうと、11〜14時と17〜20時くらいです。もちろん、その日の気象条件や季節によって変わりますが、こうしたピークタイムを避けて外出するようにするのも1つの手でしょう。

 

2-6. 花粉の多い日を知る

同じく花粉症環境保健マニュアル(10)によれば、例えばスギ花粉は飛散が始まってから7〜10日後くらいから量が多くなるとされています。その後4週間程度が花粉の多い時期であり、この期間内に次のような天気になると花粉が特に多くなるとしています。

・晴れて、気温が高い日

・空気が乾燥して、風が強い日 春一番には特に注意

・雨上がりの翌日や気温の高い日が2~3日続いたあと

こうした日もなるべく外出を避けたり、1で述べたように防御態勢を整えるなどすると良いでしょう。

 

花粉症で悩んだら何科を受診すべき?

 

花粉症で悩んだ時にどこを受診すれば良いかで悩まれてしまう方もいらっしゃるようです。基本的に、花粉症治療を受けるのにもっとも適した診療科は耳鼻咽喉科です。

ただし、花粉症は極めてメジャーな疾患であることから多くの医師が一定水準の知識があるものと思われます。従って、内科で対応できることもあるでしょう。妊婦や授乳婦の方は、産婦人科の方がより背景を理解して対処してくれることも期待できます。また、症状がひどい部位によって診療科を考えても良いでしょう。鼻炎が辛ければ耳鼻咽喉科、目がかゆければ眼科、皮膚がかゆければ皮膚科といった具合です。(11) 

3. 妊娠の時期とお薬の影響

妊娠の時期によって、お薬の影響が変わりますので整理して理解しておくと良いでしょう。

 

妊娠前の服用であれば、一般的に花粉症に用いられる点鼻、点眼、アレルギー止めなどがその後の妊娠や胎児へ影響を及ぼすことはまずありません。妊娠1ヶ月以内の時期も、胎児の体がまだ形作られる段階ではないため、大きな影響はないと考えられます。

 

妊娠2ヶ月〜4ヶ月は、胎児の体や臓器が作られる時期であるため奇形という意味では影響を受けやすい時期です。ただし、後述しますが一般的な花粉症のお薬では影響のリスクは大きくないと考えられます。

 

妊娠5ヶ月〜7ヶ月は体や臓器がほぼ出来上がってきているため、奇形という意味でお薬の影響はさほど大きくはありません。

 

妊娠8ヶ月〜10ヶ月になると、胎児にお薬が移行して影響を受けることがあります。胎児毒性と呼ばれるものですが、鎮痛薬などで問題になることがあります。(12)

 

 

4.花粉症で妊婦はお薬飲んでもOK?我慢すべき?

妊婦だからといってすべからくお薬を避けなければならないわけではありません。お薬の説明書を参照すると、妊婦さんに対する注意は大抵「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と書かれているだけですので、判断に困るということもあろうかと思います。

 

実際、妊婦さんにお薬を飲ませて赤ちゃんがどうなったかなど試験することは倫理的に問題がありますから、動物実験の結果や何らかの疫学研究の結果から類推するしかないわけです。多くの抗ヒスタミン剤(花粉症のアレルギー症状を抑えるのに使われる飲み薬)において、妊婦における疫学研究が存在していないため評価は難しいとされています。(12)

 

5.病院から処方されたお薬は安全?

基本的に、アレルギー止めの飲み薬や点眼薬点鼻薬に関しては安全性が高いと類推されますが確定的なことは言えません。ジルテックとクラリチンというお薬に関しては先天性奇形の増加や、生産率、出生児体重、在胎週数が有意に増えるとわけではないことが分かっているため安全に使えるものと思われます。

 

ザイザルとデザレックスという、それらを光学分割したもの、つまり代謝されると結局同じ物質になるものは、同様に安全と考えられます。ポララミンというお薬も安全性が高いと考えられていますが、眠気が出やすいので注意が必要です。

 

また、点鼻薬は基本的に安全と考えられていますが、例えば鼻炎を抑える成分であるブデソニド、フルチカゾン、またはモメタゾンなどを含む点鼻スプレーは使っても問題ないと考えられています。妊娠中でも安全に使えるお薬は他にもいくつかありますので、医師に相談されても良いでしょう。(13)

 

 

6.市販薬は使用して良い?

市販薬では、処方箋医薬品のジルテックと同じ有効成分のセチリジンを含むものとしてコンタックやストナリニといった製品が販売されていますし、クラリチンも市販で買い求めることができます。な

お、点鼻薬や点眼薬に関しては各種成分があるのですが、胎児への移行性は基本的に小さく安全にお使い頂けるものがほとんどです。詳しくはドラッグストアなどで相談してみると良いでしょう。

 

7.おわりに

様々な対策を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。ご妊娠されていても、できる対策はあることがお分かり頂けたと思います。どうしても症状がお辛い場合は、安全性の高いお薬もありますので受診して医師に相談されてみても良いでしょう。

 

【参考文献】

 

1. Allergy Proc. 1988 Sep-Oct;9(5):545-54.

Diagnosis and management of rhinitis during pregnancy.

Schatz M1, Zeiger RS.

PMID: 2906890

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2906890

 

2. Ann Allergy Asthma Immunol. 2002 Nov;89(5):463-6.

Variables affecting asthma course during pregnancy.

Kircher S, Schatz M, Long L.

PMID: 12452203

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12452203

 

3. Ann Allergy Asthma Immunol. 1997 Feb;78(2):157-9.

Antihistamines and pregnancy.

Schatz M, Petitti D.

PMID: 9048523

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=9048523

 

4. Ann Allergy Asthma Immunol. 2004 Jun;92(6):654-8.

Effect of vitamin E supplementation on the regular treatment of seasonal allergic rhinitis.

Shahar E, Hassoun G, Pollack S.

PMID: 15237767

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15237767

 

5. J Am Coll Nutr. 2007 Jun;26(3):279-87.

Fish and fat intake and prevalence of allergic rhinitis in Japanese females: the Osaka Maternal and Child Health Study.

Miyake Y, Sasaki S, Tanaka K, et al

PMID: 17634174

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17634174

 

 

6. Ann Allergy Asthma Immunol. 2006 Jan;96(1):45-50.

Vitamin E effects on nasal symptoms and serum specific IgE levels in patients with perennial allergic rhinitis.

PMID: 16440532

Montaño Velázquez BB, Jáuregui-Renaud K, Bañuelos Arias Adel C, et al

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16440532

 

7. Ear Nose Throat J. 1991 Jan;70(1):54-5.

Treatment of perennial allergic rhinitis with ascorbic acid solution.

Podoshin L, Gertner R, Fradis M.

PMID: 2065622

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2065622

 

 

8. Pediatr Res. 2007 Aug;62(2):215-20.

A randomized prospective double blind controlled trial on effects of long-term consumption of fermented milk containing Lactobacillus casei in pre-school children with allergic asthma and/or rhinitis.

Giovannini M1, Agostoni C, Riva E, et al

PMID: 17597643

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17597643

 

 

9. Int J Food Microbiol. 2009 Jan 15;128(3):429-34.

Effect of fermented milk prepared with two probiotic strains on Japanese cedar pollinosis in a double-blind placebo-controlled clinical study.

Kawase M, He F, Kubota A, Hiramatsu M, et al

PMID: 18977549

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18977549

 

10. 花粉症環境保健マニュアル

https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/full.pdf

 

 

11. Wikipedia  花粉症

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E7%B2%89%E7%97%87

 

12. 薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳 改訂2版(伊藤真也、村島温子編集)

 

13. UpToDate  https://www.uptodate.com/

Recognition and management of allergic disease during pregnancy

Michael Schatz, MD, MS

 

 

薬剤師・その他医療機関関係者の方へ
正確な医療情報を発信するために、医師、薬剤師監修のもと、誤りがないよう万全を期しておりますが、もし誤りとお考えになる情報があった場合には、ご指摘いただけますと幸いです。
医療情報に関するご指摘お問い合わせ
その他記事へのお問い合わせ

このまとめ記事に関するタグ