【医師が解説】逆流性食道炎の正しい知識~その原因から治療まで

ママさん女医 あっきー

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数か月前から胸焼けがひどい…。夜、むせ上がるような吐き気で眠れない…。

こんな症状に悩んでいる人はいませんか?

胃の不調と思われがちなこれらの症状。しかし、実は食道の炎症による症状の可能性があるとこを知っていますか?食道が炎症を起こす原因として最も多いのが、逆流性食道炎とよばれる疾患です。

ここでは、逆流性食道炎によって引き起こされる症状から検査、治療方法、受診のタイミングを詳しく解説します。

 ※この情報は、2018年2月時点のものです。

1.逆流性食道炎とはどんな病気?

逆流性食道炎とは、胃酸などの消化液が食道に逆流することで、胸焼けや吐き気が引き起こされる疾患のことです。胃酸が逆流することは健康な人でも起こるものですが、逆流性食道炎の人は、その頻度が高く、不眠がちになるなど、生活の質が低下する傾向にあります。

 

私たちが食事をすると、食べ物は食道を通って胃に送られます。食道は、いわば最初の消化器官です。

 

胃は食べ物をさらに細かくする役割があります。そのため、消化酵素が含まれる胃酸という液体が分泌されているのです。この胃酸は強い酸性で、たんぱく質を細かく分解する大切な働きを持ちます。ですから、胃の粘膜はこの強い酸に満たされても傷つけられない性質を持ちます。

普段、私たちの食道と胃の境目は、括約筋という筋肉できつく閉じられ、胃酸が食道に入り込まないようになっています。食べ物が胃に送られるときだけ、括約筋が開きますが、口から胃への一方通行な流れしかありません。

しかし、何らかの原因でこの仕組みが壊れると、食道に胃酸が逆流するようになります。その結果、胃酸に耐えられない食道の粘膜が炎症を起こしてしまうのです。

では、逆流性食道炎になる原因にはどんなものがあるのでしょうか?見ていきましょう。

 

2.逆流性食道炎になる原因

2-1. 食道括約筋の働きが弱まっている

 胃酸が食道に逆流しないために、食道と胃の境目の括約筋が大切な役割を果たしていましたね。この筋肉の働きが弱まると、当然、食道と胃を隔てる力が弱まります。その結果、逆流性食道炎を発症するのです。

 原因として代表的なものは、食道裂孔ヘルニアと呼ばれるものです。これは高齢者や肥満者に多いと言われています。また、一度に大量の食事や脂っこい食事を摂ると、胃が過伸展を起こし、一時的に食道括約筋の力が緩んでしまいます。この結果、胃酸の逆流が起こることがあります。

 

2-2. 食道の運動機能が悪くなっている

 糖尿病の人や高齢者は食道の働きが悪くなり、口から胃へ食べ物を送るのに時間がかかってしまいます。食道と胃の境目に食べ物が溜まりやすくなり、この刺激によって胃酸が逆流してしまうのです。

 

2-3. 腹圧が上がっている

 妊婦さんや肥満者、背中が曲がった人などは 腹圧がかかりやすく、物理的に逆流が起こりやすくなります。

 

2-4. 薬の影響を受けている

 高血圧や狭心症に使われる薬の一種には、食道括約筋を緩める働きを持つものがあります。逆流性食道炎で悩んでいる人は、一度自分の飲んでいる薬にこのような働きがないか確認してみましょう。

 

3.逆流性食道炎は、どのような症状があるの?

逆流性食道炎の症状で最も多いのは「胸焼け」と「呑酸」ですが、胸痛や咳などの呼吸器症状、のどの異物感や声のかすれなど様々のものがあります。

 

これらの非典型的な症状のみでは、逆流性食道炎を疑うことはできません。薬を飲んでも咳が止まらず、詳しく検査をしたら逆流性食道炎と診断されたというケースもあるのです。

しかし、どの症状も、満腹のときや横になっているときに起きやすいのが特徴です。症状が1日を通して続くのではなく、決まったタイミングや出来事に誘因して引き起こされるというポイントがあります。これは逆流性食道炎を疑う大きな手掛かりになるでしょう。

 

4.逆流性食道炎の疑い、どんな検査をするの?

逆流性食道炎は、症状やその誘因・出現・消失パターンなどの問診で疑いを持たれたら、比較的診断しやすい病気であるといえます。では、実際にはどのような検査が行われているのでしょうか。

4-1. 内視鏡検査

直接、食道の中を見ることができる検査です。食道と胃の境目に赤くただれたような炎症が見られます。また、逆流性食道炎の原因である食道裂孔ヘルニアを診断することも可能です。症状のみで食道に炎症が見られないこともありますが、このようなケースでは内視鏡検査では診断できません。

 

4-2. PPI(プロトンポンプ阻害薬)テスト

胃酸を抑制する作用を持つPPIとよばれるお薬を1週間服用し、症状がよくなれば逆流性食道炎の可能性が高いと考えます。内視鏡が行えない人や、内視鏡で異常が見られなかった人はこの方法で診断することが多いです。

 

5.逆流性食道炎はどうやって治療するの?

逆流性食道炎の治療は大きく3つに分かれます。人によって症状や原因が異なりますので、自分に合った治療を行うことが重要です。

5-1. 薬物治療

逆流性食道炎の治療は薬物療法が主体となります。胃酸を抑えるためのPPIH2ブロッカーと呼ばれる胃薬。

食道の運動を促すための運動機能改善薬が考えられます。大半の人は、PPIの服用で症状改善が認められています。

 

PPI・・・オメプラール、タケプロン、パリエット、ネキシウム、タケキャブなど

H2ブロッカー・・・ガスター、アシノン、ザンタック、プロテカジンなど

運動機能改善薬・・・ガスモチン、セレキノンなど

 

5-2. 生活習慣改善

生活習慣は逆流性食道炎の発症や悪化に大きく関わっています。薬を飲んで治療しても生活習慣が改善されなければ、再発を繰り返すことになります。薬物療法と並行して生活習慣改善を目指してみましょう。

①食事

暴飲暴食は胃の過伸展を引き起こして食道括約筋を緩めてしまうだけでなく、肥満につながるため、腹圧の上昇にもつながり、結果として逆流性食道炎の発生を促すことになります。高脂肪食やアルコール、カフェインを含む飲み物、香辛料なども逆流性食道炎を悪化させることがわかっていますので避けたいところです。消化の良い食べ物を腹八分目までに抑えるのが、逆流性食道炎改善へのカギとなるでしょう。

また、逆流性食道炎は横になっている状態で生じやすいですから、食後すぐに横にならない、寝る前は食べない、などの対策を取りましょう。

②喫煙

喫煙は食道括約筋を緩め、逆流性食道炎を増悪させることが知られています。また、食道や胃の粘膜を傷つける作用もありますので、禁煙することをお勧めします。どうしてもやめられない人は、禁煙外来で相談するのもよいでしょう。

③ストレスをためない

ストレスによって胃酸分泌が促進されると、食道がさらに傷ついて、逆流性食道炎の悪化につながります。逆流性食道炎は高齢者に多い病気とされてきましたが、近年ストレスを主な原因とする若い人の発症も増えています。ストレスのないゆったりとした生活を目指してみましょう。

 

5-3. 手術

現在では、PPIの服用によって症状が大幅に改善しますので、手術による治療はあまり行われなくなりました。しかし、再発を繰り返す人や、炎症によって食道が狭くなってしまったケースでは、内視鏡手術や外科的手術を行うこともあります。

 

6.どんな症状が出たら病院に行けばいいの?

逆流性食道炎は、様々な症状を引き起こし、その程度も人によって異なります。食道に大きな潰瘍ができているのに何も症状を感じない人もいれば、粘膜の炎症はないのに激しい症状に悩んでいる人もいるのです。

 

逆流性食道炎の不快な症状は一日中続くのではなく、睡眠中や食事の後など決まった時にのみ生じるものです。このため、特に多忙な社会人では、未治療の人が多い傾向にあります。しかし、逆流性食道炎は、未治療のままですと、粘膜が炎症を繰り返すことでやがて癌になることが分かっています。

 

残念ながら、逆流性食道炎に決められた受診のタイミングというものはありませんが、逆流性食道炎が疑われるような症状や出現パターンがあったら、迷わず治療を開始しましょう。  

 

7.逆流性食道炎はこわくない!

現在、日本人の2割が逆流性食道炎であるといわれています。逆流性食道炎は様々な症状が現れ、睡眠不足などQOLの低下にもつながる深刻な病気です。

しかし、適切な薬物療法と生活習慣改善の努力によって、完治可能な病気でもあります。

 

大切なのは、この病気への正しい知識を持ち、罹患が疑われる場合には早期に治療につなげることです。

あなたの体はあなたしか守れません。

つらい症状は体が悲鳴を上げている証拠です。無理をせずにきちんと治療を行い、逆流性食道炎の不快な症状から解放されましょう。   

 

 

 

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