逆流性食道炎に用いられる治療薬一覧と服用期間、市販薬について解説

胸焼けがひどく、喉に酸っぱいものがこみ上げてくるなど不快な症状がある場合、それは「逆流性食道炎」かもしれません。

症状がよくならず病院を受診したところ、お薬による治療が開始されることもあるでしょう。処方されたお薬がどんなものか、新しいお薬など他にないかなど気になられる方もいるでしょう。

今回は、逆流性食道炎の治療に用いられるお薬の特徴や種類一覧を解説するとともに、服用上の注意点や生活習慣の改善のアドバイスなどもご紹介します。
※この情報は、2018年6月時点のものです。

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1.逆流性食道炎について

口からご飯を摂ると、食道を通って、胃に運ばれ消化されます。通常は、食道と胃の境目にある筋肉(下部食道括約筋)によって、胃の内容物が逆流されないようになっています。

 

逆流性食道炎とは、この逆流しない仕組みが正常に働かなくなり、胃の内容物(胃酸など)が食道に逆流してしまい、食道の粘膜に炎症を起こす病気です。食道の粘膜は胃酸に弱いためです。

 

主な症状としては、胸やけ、呑酸(喉、口の中がすっぱいと感じる)、吐き気、口の中の不快感、咳などがあります。このような症状によって、睡眠不足になるなど生活にも支障が出ることがあります。

 

また、ひどくなると、合併症として、貧血や出血、食道狭窄、そして放置すると、食道腺がんにつながる恐れもあります。

治療の目的は、症状をコントロールすること、QOL(生活の質)の改善、症状の悪化を防ぎ、合併症を予防することです。

治療としては、生活習慣の改善を行うとともに、お薬による治療を行うことが基本であり、外科的処置が行われることもあります。

 

詳しくはこちらの記事をご参考下さい。

医師執筆

【医師が解説】逆流性食道炎の正しい知識~その原因から治療まで

医師:ママさん女医あっきー
2018.02.06
病気

 

2.逆流性食道炎に用いられる薬

2-1. 逆流性食道炎の治療に用いられる薬の特徴

逆流性食道炎の症状を和らげるためには胃酸の分泌を抑えることが求められます。逆流性食道炎に対して第一に選択されるのは、高い効果が期待できる「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」とよばれる胃酸の分泌をおさえるタイプの薬になります。逆流性食道炎に対して、一般的に最もよく処方されるお薬です。

こちらのプロトンポンプ阻害薬(PPI)で効果が得られない場合には、増量や別の種類のPPIへの変更、その他の薬が処方されます。その他の薬としては、プロトンポンプ阻害薬と同様に胃酸の分泌をおさえる「ヒスタミンH2 受容体拮抗薬(H2ブロッカー)」とよばれるタイプの薬が処方されることや、「消化管機能改善薬」や「漢方薬」なども合わせて処方されることもあります。

 

2-2. 逆流性食道炎の治療薬一覧

ジェネリック医薬品が販売されているお薬も多数ありますが、ここでは先発医薬品を例に掲載します。

 

<プロトンポンプ阻害薬(PPI)>

・オメプラール(成分:オメプラゾール)

・タケプロン(成分:ランソプラゾール)

・パリエット(成分:ラベプラゾール ナトリウム)

・ネキシウム(成分:エソメプラゾール マグネシウム水和物)

・タケキャブ(成分:ボノプラザン フマル酸塩)  など

 

胃の壁細胞には、胃酸の分泌を行なっているプロトンポンプとよばれる箇所があります。プロトンポンプ阻害薬は、このプロトンポンプに対して作用し、そのはたらきを阻害することによって胃酸の分泌をおさえる薬です。

逆流性食道炎だけではなく、胃潰瘍や十二指腸潰瘍やヘリコバクター・ピロリの除菌などにも用いられるお薬です。

 

<ヒスタミンH2 受容体拮抗薬(H2ブロッカー)>

・ガスター(成分:ファモチジン)

・プロテカジン(成分:ラフチジン)

・タガメット(成分:シメチジン)

・アシノン(成分:ニザチジン)

・ザンタック(成分:ラニチジン塩酸塩) など

 

胃酸の分泌に関わっているのがヒスタミンとよばれる体内の物質です。胃の壁細胞には、ヒスタミン受容体とよばれる受容体があり、そこにヒスタミンがくっつくことを妨げることによって、胃酸の分泌を抑えるお薬です。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍などに用いられ、市販薬でも販売されていることから、普段から服用しており馴染みがある方もいるかもしれません。

 

<消化管機能改善薬>

・ガスモチン(成分:モサプリド クエン酸塩)

・セレキノン(成分:トリメブチン マレイン酸塩)

・ガナトン(成分:イトプリド塩酸塩) など

 

胃腸の運動を活発にさせることによって、胃での消化を助け、胸やけなどの症状を軽減します。逆流性食道炎に対して単独ではあまり使用されませんが、合わせて処方されることはあります。

 

<漢方薬>

・六君子湯 など

 

六君子湯には、人参、半夏、茯苓、朮、陳皮、甘草の6つの生薬が含まれており、消化器系の機能のはたらきを良くする効果が期待できます。逆流性食道炎に対して、プロトンポンプ阻害薬(PPI)との併用でより効果が認められるといった臨床データもあるため、合わせて処方されることがあります。

漢方薬は個々の体質、症状によって適したものが処方されますので、専門家に相談して処方してもらうことをお勧めします。

 

服用期間はどれぐらい?

 

逆流性食道炎に対して主に用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、通常、服用期間が定められています。また、効果が不十分な場合や再発を繰り返す場合には、その服用期間を超えて維持療法を行うこともあります。各々の薬によって違いがありますので、添付文書記載の用法用量(成人)を列挙します。

 

・オメプラール(成分:オメプラゾール) 

  通常、成人にはオメプラゾールとして1日1回20mgを経口投与する。なお、通常、8週間までの投与とする。さらに再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1日1回10~20mgを経口投与する。

 

・タケプロン(成分:ランソプラゾール)

  通常、成人にはランソプラゾールとして1回30mgを1日1回経口投与する。なお、通常8週間までの投与とする。
さらに、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1回15mgを1日1回経口投与するが、効果不十分の場合は、1日1回30mgを経口投与することができる。

 

・パリエット(成分:ラベプラゾール ナトリウム)

  逆流性食道炎の治療においては、通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回10mgを1日1回経口投与するが、病状により1回20mgを1日1回経口投与することができる。なお、通常、8週間までの投与とする。また、プロトンポンプインヒビターによる治療で効果不十分な場合、1回10mg又は1回20mgを1日2回、さらに8週間経口投与することができる。ただし、1回20mg1日2回投与は重度の粘膜傷害を有する場合に限る。

 

・ネキシウム(成分:エソメプラゾール マグネシウム水和物)

通常、成人にはエソメプラゾールとして1回20mgを1日1回経口投与する。なお、通常、8週間までの投与とする。さらに再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1回10~20mgを1日1回経口投与する。

 

・タケキャブ(成分:ボノプラザン フマル酸塩)

通常、成人にはボノプラザンとして1回20mgを1日1回経口投与する。なお、通常4週間までの投与とし、効果不十分の場合は8週間まで投与することができる。
さらに、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、1回10mgを1日1回経口投与するが、効果不十分の場合は、1回20mgを1日1回経口投与することができる。

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、一般的には、定められている服用期間で服用しますが、症状によって、継続して服用する場合もあります。長期で服用する維持療法でも、安全性は高いといわれてはいますが、注意深い観察をしながら服用を続ける必要があります。寛解状態が良好に保たれていると判断された場合は休薬又は減量を考慮する必要があります。

自己判断ではなく、定期的な検査を行い、主治医と相談をしながら、服用を続けるようにしましょう。

 

2-3. どのお薬が良いの?

逆流性食道炎の薬は、今回挙げたように多数の種類があります。また、現状も開発が進んでおり、今までの薬の欠点を補うような新しい薬も出てきています。

 

但し、一概に「新しい薬=効果が高い」とは言い切れません。以前より販売されている薬の方が、臨床実績が長く、様々なデータもとれており安全かつ有効に使用できるケースもあります。

 

専門の医師は、診療に関するガイドラインをはじめ、様々な臨床データ、経験から、症状をみてどの薬が適切かどうかを判断して、処方を決めます。個人的にお薬について詳しく調べることは良いことですが、どのお薬が良いかは、専門の医師の判断でないと難しい部分があります。

 

主治医とよく相談し、その専門家の判断を信じ、毎日しっかりとお薬を飲むことが大切です。

 

2-4. 服用上の注意点・ポイント

逆流性食道炎に対して主に用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、副作用は少ないほうですが、主な副作用としては、軟便、下痢、味覚症状、腹部膨満感、悪心、発疹、かゆみ、肝機能の数値の異常、などの症状があります。

 

ここで挙げているものは一例ですので、いつもと違うような気になる症状が出た場合は、医師や薬剤師に早めに相談するようにしましょう。

 

また、プロトンポンプ阻害薬(PPI)には飲み合わせに注意が必要な薬も多数あります。

 

併用禁忌(一緒に飲んではいけない)となっているのは、抗エイズウイルス薬であるアタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)、リルピビリン塩酸塩(エジュラント)があります。

その他、併用に注意が必要な薬が多数あります。他に治療中の疾患があり服用している薬がある場合には、必ず主治医や薬剤師に事前に報告するようにしましょう。

 

今回は逆流性食道炎を主に説明していますが、治療する疾患(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、ピロリ菌除菌など)によってプロトンポンプ阻害薬(PPI)の飲み方は異なります。受診時に必ず医師に指示された飲み方で服用するようにしましょう。

 

3.市販でも逆流性食道炎の薬はある?

現状、逆流性食道炎に主に用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は市販薬では販売されておらず、医師の診察、処方せんが必要な薬です。それは作用が強く、安全面においてしっかりと専門家の観察が必要となるためです。

 

胸やけやむかつきなどに対して用いるヒスタミンH2 受容体拮抗薬(H2ブロッカー)の成分の市販薬は販売されていますが、成分は限られており、含まれている成分量が少ないこともあります。(ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、シメチジン、ロキサチジンなど)

 

症状が軽度で、病院に行く時間がないなど臨時に服用される場合には、市販薬を服用されるのは良いでしょう。但し、症状がひどい場合・長く続いている場合には、早めに病院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

 

4.お薬だけに頼らない生活習慣の改善

生活習慣の改善だけで症状の改善につながるというエビデンスは少ないのですが、お薬による治療と合わせて行うことでより高い効果が期待できることが分かっています。

 

タバコ、チョコレート、炭酸飲料、アルコール、脂肪食などは、胃酸の分泌を高めたり、胃内での滞留時間が長いため、良くないとされています。特に症状を悪化させる傾向にあるのは、タバコ、アルコールです。

 

また、食後すぐは胃酸が逆流しやすいため、食後1時間は横にならないようにすることをお勧めします。寝る時は、うつぶせは胃に負担をかけたり、逆流を起こし易いため一番良くなく、横向きになる場合には、左を下にして寝ると良いとされています。人によっても違う場合があるため、様子を見ながら寝方を調整して下さい。

 

また、肥満ぎみの方は減量することで症状の改善につながるというエビデンスもあります。

 

まとめると、タバコやお酒は控え、食後すぐは横にならないように、そして肥満ぎみの方は、普段の食事や運動などの生活を工夫し、減量するようにしましょう。お薬が処方されている方は、自己判断で止めることなく、指示どおりに服用するようにしましょう。

 

5.おわりに

今回は、逆流性食道炎の治療に用いられるお薬の特徴や種類一覧を説明させていただいたとともに、服用上の注意点や生活習慣の改善のアドバイスなどもまとめました。

 

逆流性食道炎の治療の主に用いられる薬は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)です。胃酸の分泌をおさえる作用があり、逆流性食道炎の症状を和らげます。PPIで効果がみられない場合には、増量や別のPPIに変更、もしくはその他の薬の処方が検討されます。

 

薬が処方された場合には、医師の指示どおりに服用をしっかり行うことと、合わせて、生活習慣の見直しをすることも大切になります。

 

参考:

 

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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