集団発生を起こしやすいサルモネラ食中毒、症状・感染対策を解説

サルモネラは細菌の一種であり、食中毒の原因となる代表的な病原体です。日本でのサルモネラによる食中毒件数は減少していますが、稀に死者を出すこともあり、看過することはできない病原体です。特に、学校や福祉施設などでは集団発生を起こすこともあり、正しい感染対策が必要となります。

ここでは、サルモネラの特徴や感染経路、予防法などを詳しく解説します。
※この情報は、2018年5月時点のものです。

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1.サルモネラとは

サルモネラには2000以上の種類が存在し、ヒトの腸内に常在するものもあれば、高い病原性を有するものもあります。有名なものでは、三類感染症に指定されている腸チフスやパラチフスを引き起こすチフス菌やパラチフス菌もサルモネラの一種です。また、下痢や嘔吐などの胃腸炎症状を引き起こすタイプのものもあり、これらは食中毒の原因となります。

ここでは一般的に広く食中毒を引き起こすタイプのサルモネラについて詳しく見てみましょう。

 

1-1. サルモネラはどこに存在するの?

サルモネラは自然界に広く存在する細菌であり、牛や鳥、豚などの動物の腸内に常在する菌でもあります。また、犬や猫などの家庭内で飼育されているペットが保菌していることも稀ではありません。特に爬虫類や両生類はサルモネラの保有率が高いため、飼っている人や動物園などで触れ合った人は注意が必要です。

 

さらに、サルモネラは菌を保有している動物の糞にも含まれており、サルモネラを含んだ糞で生成した、たい肥によって、野菜をはじめとした農作物に付着することもあります。

 

このように、サルモネラは動物の腸内に存在する細菌ですが、その糞を介して様々な食品が汚染される可能性があり、全ての食品に対して適切な対策を行わなければならないのです。

 

1-2. サルモネラはどこから感染するの?

サルモネラは様々な食品に付着している可能性があり、感染者の便から他の人へ感染が広がることもあります。では、それぞれどのような経路で感染する可能性があるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

 

①汚染食品から

サルモネラは、汚染された食品を介して感染することが最も多いとされています。サルモネラによる食中毒を起こしやすい食品としては、牛肉、鶏肉、卵、乳製品などが挙げられます。しかし、野菜や井戸水などもサルモネラに汚染されていることもあり、サルモネラの流行時期である夏にはそれらの食品を全て含めた感染対策が必要となります。

また、サルモネラは熱には弱いですが低温には強いため、冷凍食品で食中毒を引き起こすこともあります。

 

②ペットから

サルモネラは家畜だけではなく、猫や犬、鳥などの家庭のペットにも常在している可能性があります。

特にペットに下痢などの症状があるときの糞の中には大量のサルモネラが含まれていることがあるので注意が必要です。

 

また、両生類と爬虫類にはサルモネラが常在しやすく、糞や肛門付近だけでなく全身の体表に菌が付着していることもあります。

 

③感染者からのヒト-ヒト感染

サルモネラは、感染者から排出された菌が経口感染や接触感染によってヒト-ヒト感染を引き起こすことがあります。

 

サルモネラ感染症は学校や会社、老人施設などの集団生活を送る場所で大規模な集団発生を生じることがありますが、これらは食中毒だけが原因ではなく、感染者からのヒト-ヒト感染で二次感染が起こりやすいためであると考えられています。

 

1-3. サルモネラに感染するとどんな症状が出るの?

サルモネラは一般的には下痢や嘔吐などの胃腸炎症状を引き起こします。感染してから発症するまでの潜伏期間は菌の種類によって異なり、8~48時間と大きな差があります。

 

初発症状は吐き気や嘔吐が多く、次第に腹痛や下痢が生じます。下痢の程度は重く、一日に10回以上の水のような下痢が4~7日ほど続き、大腸の炎症がひどい場合には血便を生じることもあります。発熱は38~40度近い高熱になることが多く、激しい下痢と高熱のために脱水症になりやすく、小児や高齢者では意識障害や痙攣などの神経症状を呈することも稀ではありません。

 

また、サルモネラは胃腸症状だけでなく、数%の人が慢性関節炎や結膜炎などの後遺症を残し、完全に症状が消失するまでに数年の期間が必要になることもあります。

 

小児や高齢者などの免疫力が低い人ほど重症化しやすく、入院治療が必要となるケースも多々ありますが、健常な成人では激しい症状が現れないこともあります。このような場合には、感染に気付かずに十分な感染対策を行わないため二次感染を拡大させることがあるので注意が必要です。

 

2.サルモネラの感染対策

サルモネラは激しい下痢による脱水症で入院治療が必要となるケースも多々あり、これによって死亡することもある恐ろしい病原菌です。このため、サルモネラへの感染は正しい感染対策を行うことでしっかりと予防することが大切なのです。ここでは、どのような感染対策を行うべきかご紹介します。

 

2-1. 食品の加熱

サルモネラは75度、1分以上の加熱で死滅するとされています。特に鶏肉やひき肉を使った食品は中心部までサルモネラに汚染されていることがありますので、中心部までしっかり火を通すようにしましょう。

また、卵には殻の表面にもサルモネラが付着している可能性があるため、サルモネラの流行期にはできるだけ生食は避け、加熱したメニューを選ぶとよいでしょう。

 

2-2. 食品の洗浄

サラダ用の野菜や卵などはサルモネラに汚染されている可能性があります。これらを加熱せずに食べる場合には、食前に流水で十分菌を洗い流すようにしましょう。

また、サルモネラは酸に弱いため、流行期の夏場はお酢やレモン汁を含んだドレッシングで和えるなどの工夫をするとより一層予防効果が高まるでしょう。

卵かけご飯などで卵を生食する際には、殻を丁寧に洗い、できるだけ卵の食用部分と殻が接触しないように殻を割ることもよい対策法です。

 

2-3. 調理器具の消毒

サルモネラが付着したまな板や包丁などの調理器具を介して他の食品を汚染する可能性があり、原因食材を加熱して菌を死滅させても二次汚染された食品から感染が生じることもあります。このため、肉を調理するのは最後にする、まな板シートなどを活用して肉とそれ以外の食材に使用する調理器具をわける、使用後は一回ずつ洗浄、消毒を行うなどの対策が必要です。

 

2-4. ペットと接したときは速やかに手を洗う

サルモネラはペットの腸内に常在していることもあるため、ペットと接した後にはなるべく速やかに手を洗い、糞の処理では使い捨ての手袋を使用するようにしましょう。

 

2-5. ヒト-ヒト感染を防ぐ

サルモネラはヒト-ヒト感染によって二次感染を広げる危険があります。このため、家族や身近な人がサルモネラに感染した場合には、ヒト-ヒト感染を防ぐために標準的な感染予防策を行う必要があります。

 

感染者を含めたすべての人が用便後や食事前などにこまめに手洗いと手指消毒を行い、感染者と密に接するときはマスクの着用がすすめられます。また、ドアノブやトイレレバー、電気スイッチなど人の手が触れやすい部位はこまめにアルコールやハイターなどで消毒を行うとよいでしょう。

 

3.万が一感染してしまったら…

しっかりと感染対策を行っていても、周囲からのヒト-ヒト感染が生じることもあります。このため、サルモネラへの感染はどんなに予防策を徹底して講じても失敗することもあるのです。

 

しかし、サルモネラは適切な抗菌薬を服用し、激しい下痢による脱水が生じている場合には補液治療が行われ、多くの人は一週間ほどで治ります。なるべく早く治療を開始することで重症化を防ぎ、治療期間を短縮することもできます。

 

また、近年では抗菌薬が効かないサルモネラが問題となっており、薬剤感受性検査によって厳密に選ばれた抗菌薬の投与が必要になります。中には、「単なる胃腸炎だから」と病院受診をせずに以前処方された抗菌薬の余りを自己判断で服用する人もいますが、これは更なる抗菌薬への耐性化を促す危険もありますので控えましょう。

 

発熱を伴う下痢や嘔吐があった場合には無理をせずに早めに病院を受診し、然るべき検査・治療を行うように心がけることが大切なのです・

 

4.まとめ

サルモネラは主に肉類や卵などに潜んでいる細菌ですが、野菜や水からも感染することがあり、食品以外ではペットや感染者からのヒト-ヒト感染が引き起こされることもあります。

 

このため、感染予防法は多々ありますが、どれも非常に重要な対策なのです。特にサルモネラが流行しやすい梅雨から夏にかけての時期は徹底した対策を行うようにしましょう。

 

執筆
医師:ママさん女医あっきー
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