長引く咳の症状。それは副鼻腔炎のサインかも?

咳は風邪や鼻炎などの上気道の炎症でよく見られる症状です。一般的な風邪であれば、咳は数日で治まります。しかし、なかには数か月にわたって咳に悩まされることがあり、特に夜間の咳は睡眠障害などの症状を引き起こしかねません。

風邪薬を飲んでも治らない長引く咳。それは副鼻腔炎からくる症状かも知れません。ここでは、副鼻腔炎でなぜ咳を生じることがあるのか、その特徴について詳しく解説します。
※この情報は、2018年9月時点のものです。

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1.副鼻腔炎ってどんな病気?

副鼻腔炎とは、顔面の骨にある「副鼻腔」と呼ばれる空洞の粘膜に炎症が生じる病気のことです。副鼻腔炎によって咳が出るメカニズムを理解するために、まずは副鼻腔炎について詳しく見ていきましょう。

 

1-1. 副鼻腔は8つある。その役割は?

私たちの顔面はいくつもの骨が合わさって、立体的な構造をしています。その立体的な構造には、左右対になった空洞が存在し、その空洞を「副鼻腔」と呼びます。

 

副鼻腔には、大きく分けると、額にある前頭洞・鼻腔付近にある篩骨洞と蝶形骨洞・頬にある上顎洞の4種類があります。それぞれ左右対で存在するため、副鼻腔は8か所あるのです。

 

これらの副鼻腔がどのような役割を担っているのかは、厳密には解明されていません。しかし、空洞を形成することで顔面の骨の重量を軽減していること、顔面に外力が加わった時に空洞が衝撃を吸収することなど、一説には力学的な役割が挙げられています。また、副鼻腔の粘膜は鼻腔の粘膜と同じく異物を排除するための線毛があり、粘液を産生するため、鼻腔や咽頭の保湿や異物の排除を行っているとの説もあります。

 

1-2. なぜ副鼻腔炎を発症するの?

副鼻腔は、本来ならほぼ無菌の状態に保たれています。しかし、副鼻腔は小さい穴(連絡口)で鼻腔と繋がっているため、鼻腔やのどの細菌、ウイルスなどが副鼻腔内に入り込むことがあります。通常では、副鼻腔内に入り込んだ細菌やウイルスなどの異物は線毛の働きによって排除されます。しかし、大量の異物が入り込んだり、鼻炎などによって副鼻腔と繋がる穴が塞がった状態になると、副鼻腔内で異物が増殖して炎症を起こすことがあります。

 

これが、副鼻腔炎を発症するメカニズムです。

 

1-3. 副鼻腔炎は長引くの?

副鼻腔の粘膜からは、異物を排除するために粘液が大量に分泌されています。これらの粘液は、通常であれば連絡口を通して鼻腔やのどに流れるので問題となることはありません。しかし、鼻炎などによって連絡口が閉塞した状態が続くと、粘液が副鼻腔内に貯留してしまいます。本来空洞の副鼻腔に液体が貯留することで、顔面の違和感や痛みを生じるだけでなく、細菌やウイルスがその中で増殖して炎症を引き起こすのです。

 

急激に炎症が生じるものを急性副鼻腔炎といいますが、副鼻腔はこのように液体が溜まりやすく、異物が増殖すると自然に排出するのが困難な場合もあります。このため、炎症が長く続くことがあり、特に3か月以上症状が続くものを慢性副鼻腔炎と呼びます。

 

2.副鼻腔炎で咳が出る?後鼻漏とは?

副鼻腔炎には、「後鼻漏」と呼ばれる症状があります。後鼻漏は長く続くと咽頭炎や気管支炎を引き起こし、なかなか治らない咳の原因となります。

副鼻腔炎が引き起こす咳の症状について詳しく見てみましょう。

 

2-1. 「後鼻漏」とは?

後鼻漏とは、鼻腔で分泌された鼻水や粘液がのどの奥から食道へ流れ込むことです。健康な人でも後鼻漏は生じており、一日に1リットルの液体がのどの奥に流れ込んでいるといわれています。

 

しかし、副鼻腔炎を発症している人は、副鼻腔から鼻腔に流れ込んだ粘液の中に大量の細菌やウイルス、膿などの粘膜を刺激する物質が含まれています。その結果、このような性質の液体がのどに流れ落ちることで、のどの粘膜にダメージを与えて炎症を引き起こすことがあるのです。

 

2-2. 「後鼻漏」による咳の特徴

後鼻漏が長く続くと、咳が引き起こされることがあります。特に、膿を含んでドロドロとした鼻水はのどの奥に流れ込むと、その更に奥の食道へ落ちて行きづらく、のどの奥にこびりつくことがあります。ドロドロの鼻水がのどにこびりつくと、のどが鼻水を排出しようとして咳反射が生じるのです。

 

また、後鼻漏による咳は横になった体勢で生じやすく、お風呂上りなど体温が一時的に上昇した後に起こりやすいのが特徴です。これは、体勢によってのどの奥に流れる後鼻漏の量が変化することや、副鼻腔や鼻腔のなかで固まった鼻水が体温の上昇と共に柔らかくなって排出されやすくなるためです。

 

2-3. 「後鼻漏」による咳の対処法

後鼻漏による咳が続く場合、放置すると気管支炎を発症するだけでなく、場合によっては気管支喘息に進行することも指摘されています。これは、気管に慢性的なダメージが加わることが原因です。

 

このため、後鼻漏による咳は日中の症状が強くない場合でも、必ず病院を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。多くは、抗生物質や痰・鼻水を出しやすくする薬、炎症を抑える薬などを医師の指示に従って服用すれば徐々に改善していきます。

 

また、室内の加湿を心がけたり、副鼻腔に溜まった粘液の排出を促すためにホットタオルで温めるなどのセルフケアも忘れないようにして下さい。

 

3.副鼻腔炎のその他の代表的な症状は?

副鼻腔炎は副鼻腔の炎症に留まらず、周囲に存在する鼻腔やのどにも影響を与えるため、様々な症状が現れます。

 

代表的な症状にはどのようなものがあるのか詳しく見てみましょう。

 

3-1. 鼻水

副鼻腔炎では副鼻腔内に細菌やウイルスが増殖することで、粘液に膿が混ざるようになります。その結果、副鼻腔から鼻腔へ流れ出た膿性の粘液が鼻水として排出されるのです。ドロッと濁ったような黄色や緑色の鼻水は副鼻腔炎のサインです。

 

また、慢性副鼻腔炎に進行した場合には、軽度の炎症が継続した状態となるため、急性期のような膿が混ざった鼻水が出ることは少なくなります。

 

3-2. 鼻づまり

副鼻腔炎は、鼻水も代表的な症状として知られていますが、鼻腔の粘膜が腫れることで鼻詰まりを起こすことがあります。副鼻腔炎によって膿性の鼻水が常に鼻腔内に存在する状態になると、鼻腔の腫れはどんどん悪化し、更に副鼻腔炎を悪化させるとい悪循環に陥ります。

 

3-3. 顔の痛み

副鼻腔は顔面に存在する空洞であるため、そこに炎症が生じると痛みを生じることがあります。痛みを生じる部位は炎症を起こした副鼻腔の位置によって異なります。例えば、前頭洞での副鼻腔炎は頭痛や眼痛を引き起こし、上顎洞の副鼻腔炎では頬の痛みや場合によっては歯の痛みと自覚されることもあります。

 

3-4. 神経障害

鼻腔や副鼻腔の周囲には嗅覚を司る神経や、視神経などが走行しています。副鼻腔が慢性的に炎症を起こしている状態になると、これらの神経にまで炎症が波及して神経障害を引き起こすことがあります。長引く鼻づまりによって臭いを感じづらくなった場合には、単なる鼻づまりではなく、嗅覚を司る神経自体にダメージが加わっている可能性があるのです。

 

4.まとめ

副鼻腔炎では様々な症状が生じます。一般的な風邪とよく似た症状のみが現れて、放置されることも少なくありません。特に、咳の症状のみの場合には、副鼻腔炎が見逃されることが多々あります。

 

しかし、副鼻腔炎による咳は適切な治療を行わないと、気管支にダメージを与えて重篤な合併症を引き起こすことがあります。長引く咳は、副鼻腔炎のサインかも知れません。早めに病院を受診して、適切な検査・治療を受けるようにしましょう。

執筆
医師:ママさん女医あっきー
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