咳と痰によく効く市販薬『エスエスブロン錠』を服用する上で大切なこと

「エスエスブロン錠」は咳と痰によく効く市販薬です。
効果が高いため風邪薬として人気がある一方、手軽に購入できることから一部で乱用されている市販薬でもあります。

今回は、「エスエスブロン錠」について、効果や注意点などといった基本情報の他に、市販薬の乱用といった一歩踏み込んだ内容も解説してみようと思います!
※この情報は、2018年8月時点のものです。

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1.エスエスブロン錠とは?

「エスエスブロン錠」は、エスエス製薬が発売している鎮咳去痰薬です。

市販薬の中でも「第2類医薬品」に部類されています。

 

1-1. 有効成分と作用

 

「エスエスブロン錠」は咳と痰の症状に特化した風邪薬であり、かなり効き目が良い薬です。

どのような有効成分が含まれているのか見ていきましょう。

 

ジヒドロコデインリン酸塩

 延髄の咳中枢に作用して、咳を抑えます。咳を抑える作用は鎮咳薬の中で最も強い。

 

dl-メチルエフェドリン塩酸塩

 気管支を拡張して咳を鎮め、痰の排出を促進します。

 

クロルフェニラミンマレイン酸塩

 アレルギー反応を抑え、アレルギー性の咳を抑えます。  

 

無水カフェイン

 中枢神経を刺激し、疲労感や頭が重い感じを和らげます。また他の成分の効果を高める作用もあります。

 

 

1-2. 効能・効果

 

「エスエスブロン錠」の効能効果は「咳、痰」のみです。

発熱や喉の痛みなどの他の風邪の症状には効果はありません。

 

熱がある場合や喉が痛い場合には、「ロキソニンS」や「タイレノールA」、「バファリンA」などの解熱鎮痛成分を含む市販薬を併用すると良いでしょう。

 

気管支喘息にも効果ある?

 

エスエスブロン錠は、喘息発作の咳には使用できません。

 

有効成分の「ジヒドロコデインリン酸塩」が気道の分泌液の分泌を抑制し、痰の粘稠度を増してしまうため、喘息の症状を悪化させてしまうことがあります。

また、アレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」を放出する作用や気管支を収縮する作用もあるため禁忌薬(服用してはいけない薬)になっています。

 

気管支喘息の治療は、ステロイドやβ刺激薬の吸入や抗アレルギー薬の内服が基本になります。

市販薬では対応できないため、必ず受診して治療しましょう。

 

 

1-3. 用法・用量

 

1日3回、間隔を4時間以上空けて、次の1回量を服用します。

 

年齢

1回量

15歳以上

4錠

12〜14歳

2錠

12歳未満

服用できません

 

 

 

 

12歳未満に使用できない理由

 

エスエスブロン錠に含まれる「ジヒドロコデインリン酸塩」は、麻薬性鎮咳薬に分類され、他の鎮咳薬よりも強力な鎮咳作用を有します。

 

麻薬性鎮咳薬には「呼吸抑制」という呼吸が浅くなってしまう副作用があり、重篤化すると死亡するケースもあります。

ただし、この副作用は用法・用量を守っていれば起こることはまずありません。

 

欧米人においては、12歳未満の小児で特に呼吸抑制のリスクが高くなってしまうため、EUでは2015年に、米国では2017年に12歳未満の小児の咳に対して禁忌薬に指定されました。

 

日本人においては、遺伝子的に呼吸抑制の副作用は起こりにくく、この副作用での死亡例の報告はありません。しかし、欧米の流れから、日本においても12歳未満に対して禁忌薬に指定するべきとの声が上がり、2019年から禁忌薬に指定されることになりました。

 

1-4. 主な副作用

 

「エスエスブロン錠」には、以下のような副作用があります。

 

・発疹

・吐き気

・発熱

・呼吸困難

・めまい

・排尿困難

・血が出やすい、痣ができやすい

・動悸  など

 

これら以外にも服用後に体調の異常が現れた場合には、医師・薬剤師にご相談ください。

 

 

1-5. 使用上の注意

 

「クロルフェニラミンマレイン酸塩」により服用後に眠気がみられる場合があります。車の運転や危険な機械の操作などは避けましょう。

 

12歳未満の小児や、妊娠中の方は服用できません。

 

授乳中の方が服用する場合は、授乳を避けてください。

 

3日以上服用しても症状の改善がみられない場合は服用を中止し、医師・薬剤師にご相談ください。

 

2.その他の「ブロン」シリーズ

エスエス製薬の「ブロン」シリーズには、他にも次のような商品も市販されています。

 

①新エスエスブロン錠エース

 

痰を切る「L-カルボシステイン」が配合されており、咳と共に痰の症状が強い場合に適しています。

 

【有効成分】

■L-カルボシステイン

■ジヒドロコデインリン酸塩

■dl-メチルエフェドリン塩酸塩

■クロルフェニラミンマレイン酸塩

 

 

②エスエスブロン液L

 

服用しやすいシロップタイプの商品です。「ジヒドロコデインリン酸塩」の代わりに鎮咳成分として「デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物」が配合されているため、8歳から服用可能です。咳を抑える作用は「ジヒドロコデインリン酸塩」にはやや劣りますが強力です。

 

「グアイフェネシン」は気道粘膜に作用し、分泌機能を促進させることで痰の粘度を下げて排出されやすくします。

 

【有効成分】

■デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物

■グアイフェネシン

■クロルフェニラミンマレイン酸塩

■無水カフェイン

 

 

③新ブロン液エース

 

こちらもシロップタイプです。メントールが配合されていて後味がすっきりしています。鎮咳成分が「ジヒドロコデインリン酸塩」であるため、「エスエスブロン液L」よりも咳を抑える作用は強力です。

 

【有効成分】

■ジヒドロコデインリン酸塩

■グアイフェネシン

■クロルフェニラミンマレイン酸塩

■無水カフェイン

 

 

3.「エスエスブロン錠」を服用する上で大切なこと

近年、「エスエスブロン錠」などの風邪薬を通常の服用量よりも大量に、長期間服用している方がいるとの報告があります。

なぜ、長期間・大量に服用している方がいるのでしょうか?

 

エスエスブロン錠を大量に服用すると「気分が良くなる」、「疲れが取れる」、「幸福感が得られる」などの作用があるとされています(※これらの作用は通常量を服用する場合にはみられません)。

有効成分である「ジヒドロコデインリン酸塩」には弱い麻薬のような作用が、「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」には弱い覚せい剤のような作用を持っているためです。

合法的にドラッグストアなどで入手出来ることから、一部では「合法ドラッグ」と呼ばれています。

 

 

このような決められた用法・用量から逸脱した服用は、いわゆる「薬物乱用」に当たります。

身体への悪影響がかなり大きく、元の健康な状態に戻れない場合もあるので絶対にマネしてはいけません。一時の幸福感を得るためや疲労感を消すために安易に手を出してしまうと、大変なことになっていまいます。

 

 

大量に連用すると、脳や自律神経を障害し、認知機能の低下や不整脈、体温調節異常、不眠、ムズムズ感がずっと続くなどの有害作用を引き起こします(※通常量を服用する場合にはみられません)。

脳や自律神経は一度障害を受けると自然に再生するのは難しいため、乱用を辞めてもこれらの症状が改善されることはありません。

 

 

「ジヒドロコデインリン酸塩」や「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」には依存性もあり、徐々に飲む量が増えていき、薬を飲まないと倦怠感、食欲不振、意欲の低下、悪寒などの離脱症状を引き起こし、服用なしでは生活できない身体になってしまいます。

また、覚せい剤とは異なり、「エスエスブロン錠」はドラッグストアなどで簡単に購入することができるため、一度依存症になってしまった場合に断ち切ることが難しいとされています。

依存性に関しても、通常の服用方法では問題になりません。

 

 

このように、薬物乱用は確実に身体を蝕み、その影響は不可逆的で健康な身体を取り戻すことは大変困難です。気づいた時には手遅れで、日常生活を普通に送ることが難しくなる場合もあります。

必ず効能・効果、用量・用法を守り、絶対に乱用は避けましょう。

 

4.おわりに

何度も言いますが、用法・用法通り服用すれば「エスエスブロン錠」には精神的な作用や依存性は全くありません。

咳・痰にはとても良く効き、咳・痰が辛くて受診できない方には最適な市販薬といえます。

 

一部で乱用されていることから、エスエスブロン錠などの「ジヒドロコデインリン酸塩」や「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」が含まれている市販薬は1人1箱しか購入できないようになっていますが、時間を置いて何度も購入できたり、複数のお店を回って大量に購入が安易にできてしまうのが現状です。

 

今後、乱用により苦しむ人が増えないように、複数購入ができないような制度が求められているのと同時に、市販薬の乱用の現状と被害についてもっと周知されなければならないと思います。

執筆
薬剤師:篠ケ瀬 蒼惟
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