突発性難聴の治療は「薬」が基本。薬の種類と作用・治療法を解説

大見 貴秀

突発性難聴は急激に聴力が低下する病気です。治療法は確立されていますが、早期に治療を行わないと聴力がうまく戻らない可能性もある怖い病気です。突発性難聴の基本的な治療法は「薬」によるものです。どのような薬が処方されるのでしょうか?

今回は、突発性難聴について説明するとともに、突発性難聴の治療に用いられる薬の種類や作用、薬以外の生活習慣の改善方法なども解説していきます。

※この情報は、2017年11月時点のものです。


1.突発性難聴はどのような病気?

突発性難聴は急激に聴力が低下することが特徴の病気です。いつ、どこで発症したかがはっきり分かるくらい急激に聴力が低下します。音が聴こえづらくなることはもちろんのこと、耳鳴りや頭痛、吐き気といった副症状が生じることもあります。

 

聴力の低下がはっきり分かるため、発症を自覚しやすいことも特徴の一つです。ただし、どの程度聴力が低下するかは個人差があります。軽度の聴力低下からほとんど聞こえないくらいの重度の聴力低下、耳鳴りが大きいなど症状には幅があります。

 

突発性難聴は自分で耳の不調に気づきやすいため、早期に病院で診察を受けやすい病気です。突発性難聴は早期発見・早期治療が基本となる病気で、早めに治療すればするほど予後が良くなります。なるべく発症から48時間以内に病院で診察を受け、治療を開始していきます。

 

反対に発症してから時間が経てばたつほど聴力が元に戻りにくくなります。48時間以内で病院に行くのが難しければなるべく一週間以内、遅くとも二週間以内には病院へ行くようにしましょう。1か月以上経過してから病院に行ったとしても治療の効果が薄く、聴力はほぼもとに戻らないと考えられています。

 

突発性難聴の治療の基本は「」になります。病院に毎日通院する時間がない人でも治療を受けることができます。症状の度合いや患者のライフスタイルによっては病院に通院して、服薬ではなく点滴を用いることもあります。次の項目ではどのような薬を治療に用いるのか見ていきましょう。

 

2.突発性難聴の治療薬

  • プレドニン錠(ステロイド)

突発性難聴を治療する際に基本となる薬剤です。突発性難聴自体の原因が特定されていないため、機序は不明ですが何らかの原因により生じた内耳の炎症を抑えることで治療効果を発揮すると考えられています。

 

最初にプレドニン錠を多めに服用し、徐々に服用量を減らしていきます。基本的にプレドニン錠を7日間服用します。ステロイドと聞くと副作用が心配になる人もいるかと思いますが、突発性難聴の治療期間である7日程度では重大な副作用が生じることはほとんどありません。

 

ただし、プレドニン錠を服用することで血糖値が上昇することがあります。糖尿病の既往がある人はプレドニン錠の服用で症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。突発性難聴の診療科は耳鼻科ですが、糖尿病患者の場合は耳鼻科と内科が連携を取りつつ治療にあたります。また、妊娠中の人もプレドニン錠の服用には注意が必要です。その場合は耳鼻科と産婦人科で連携を取りつつ治療にあたります。

 

  • メチコバール錠(ビタミンB12剤)

必須ビタミンであるビタミンB12を補給するための薬です。ビタミンB12自体が水溶性ビタミンのため、

過剰に摂取しても尿とともに体外へ排出されるため副作用はありません。ビタミンB12は末梢神経を正常に保つためにビタミンです。難聴や耳鳴り、頭痛などに効果があると考えられているため、突発性難聴治療時にプレドニン錠と組み合わされて使用されます。

 

  • アデコスホーワ腸溶剤、カルナクリン錠(血流改善薬)

脳の血流を改善させる薬を服用することで、内耳の血液循環を改善させます。

耳鳴りやめまいなど突発性難聴の副症状を治療するのに有効です。

 

 

突発性難聴の症状に合わせてこれらの薬を組み合わせたり、点滴にしたりして治療を行います。治療期間は副腎皮質ホルモン薬の服用期間に準拠します。通常は1週間から10日程度で治療が終了します。

 

ただし、治療薬を適切に使用したからと言って確実に突発性難聴で低下した聴力が元に戻るとは言い切れません。

突発性難聴は全発症者の1/3で聴力が元通りになり、1/3で聴力の低下や耳鳴りと言った後遺症が残り、1/3で聴力が元に戻らないとも言われています。やはり発症してから治療を開始するまでの時間が短ければ短いほど、聴力が元に戻りやすいため早期治療を心がけましょう。

 

3.治療薬以外の生活習慣のポイント

突発性難聴はウイルス感染説と内耳循環障害説の2つが有力な原因と考えられています。

 

ウイルス感染説は突発性難聴を引き起こす何らかのウイルスに感染することで、内耳循環障害説は内耳の血流に障害が起きることで発症すると考えられています。

 

ウイルス感染説は免疫力を高めることで、内耳循環障害説は血流を改善させることでそれぞれリスクを低減させることが可能です。

日常生活の中では以下のようなポイントに気を付けるようにしましょう。

 

・ストレスを溜めない

ストレスが過度に溜まると免疫力が低下したり、血流が悪化したりしてしまいます。適度に発散してストレスを溜めないようにしましょう。スポーツや入浴、趣味などなんらかのストレス発散手段を作っておくとよいです。

 

・十分な睡眠を取る

睡眠時間が足りないと人はよりイライラしやすいようになってストレスが溜まりやすくなってしまいます。

睡眠不足を実感している人は十分に睡眠を取るようにしましょう。適切な睡眠時間は人によって異なりますが、最低でも6時間は睡眠時間を確保することが重要です。

 

・高脂質な食生活を避ける

高脂質な食生活は血流の悪化の原因となります。内耳循環障害説が直接的な突発性難聴の原因ではないとしても、内耳の血流が悪化すれば耳の機能にも影響します。

揚げ物やファストフードばかりの生活を改善して、野菜をたっぷり食べるようにしましょう。

 

4.まとめ

突発性難聴の治療の基本は「薬」によるものです。特に中心となるのは副腎皮質ホルモン薬で、内耳に生じた炎症を鎮めることで突発性難聴の治療に効果的であると考えられています。そのほか末梢神経に関わるビタミンB12剤や血流改善薬を用いて突発性難聴を治療します。

 

薬を用いた治療で確実に突発性難聴が治るわけではないことには注意が必要です。早期治療を行えば行うほど、治療の効果が高くなるため、難聴に気づいたらすぐに病院に行くようにしましょう。

 

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