目次
1.タリオンの市販薬の発売はいつ?
病院で花粉症に対して処方されるお薬のひとつとして「タリオン」があります。市販薬での発売が囁かれているので、現況を調べてみました。
平成29年9月27日に、タリオンと同じベポタスチンを有効成分とする「タリオンR」「タリオンAR」は、市販薬(要指導医薬品)としてすでに厚生労働省より販売の承認を受けております。製造販売業者は「田辺三菱製薬(株)」です。
発売時期については現状未定となっており、メーカーに問い合わせてみたところも、発売時期については「検討中」とのことでした。販売の承認はされているけれど、現状は、発売はされていないという状況です。
ちなみに平成29年9月27日、同時期に承認を取得しているアレグラFXジュニア[販売:サノフィ(株)]は、同年11月9日に発売されています。そのため、タリオンについても近いうちに販売できる体制が整った時点で、発売が開始されるのではないかと考えられます。
又、タリオンR、タリオンARが分類されている市販薬(要指導医薬品)とは、医療用医薬品から一般用医薬品に移行した成分「スイッチOTC」で、年数が経っておらず、一般用医薬品としてのリスクが確定していないお薬(安全性評価を終えていない)や劇薬(より服用に注意を要するもの)が対象です。
要指導医薬品はインターネットでの購入はできず、薬局やドラッグストアなど店舗で薬剤師との対面でないと購入できないお薬です。
2.花粉症薬、タリオンはどんなお薬?
タリオン錠5mg/10mg(成分:ベポタスチン)は、2000年10月より販売されている医療用医薬品です。2007年7月には、口腔内崩壊錠(水なしでも口に入れるとすぐに溶ける)であるタリオンOD錠5mg/10mgが販売されています。
2-1. タリオンの成分と作用
タリオンの有効成分は、「ベポタスチン」です。
花粉症などのアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に用いる治療薬です。
アレルギー症状を引き起こす原因となる体内物質、ヒスタミンの作用を抑えることによって、アレルギー症状を和らげる作用があります。(抗ヒスタミン薬)
タリオンは、抗ヒスタミン薬の中でも、第2世代とよばれる比較的新しいタイプのお薬で、従来の抗ヒスタミン薬で多くあった副作用である、口の渇きや排尿障害、又、眠気症状などが少ないとされています。
タリオンは、最高血漿中濃度到達時間が約1.2時間とはやく、効果発現が比較的はやいことが特徴です。効果持続時間は中程度のため、1日2回服用が基本です。
効果の強さについては一概に比較したものがなく、個人差もあるとされているため何とも言えませんが、他の第2世代の抗ヒスタミン薬と同程度の強さと考えられています。
<効能・効果>
(成人)
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症)
(小児)
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
2-2. タリオンの服用方法
タリオンは、基本的には、1回10mgを1日2回服用します。成人、小児によって用法・用量が規定されています。
<用法・用量>
(成人)
通常、成人にはベポタスチンベシル酸塩として1回10mgを1日2回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(小児)
通常、7歳以上の小児にはベポタスチンベシル酸塩として1回10mgを1日2回経口投与する。
臨床結果より食事の影響が少ない(空腹時投与と食後投与時の血中濃度推移はほぼ類似)ことから、食事に関係なく服用することができます。(1日2回経口投与)
そのため、1日2回のタイミングとしては、忘れやすい方の場合には朝・夕食時に合わせて服用する形でも構わないですし、最低でも約6時間以上空けていただく形であれば、1日2回のタイミングはお好きなときで問題ありません。
タリオンにジェネリック医薬品はある?
現時点では、タリオンのジェネリック医薬品は販売されていないのですが、2017年12月に薬価収載品目として承認はされているため、近々各メーカーよりタリオンのジェネリック医薬品が販売される予定があります。予定だと、2018年3月より販売が開始される予定です。
- ジェネリック医薬品とは
先発品(新薬)の特許がきれたあと、他のメーカーが先発品(新薬)と同じ有効成分で効能・効果が原則同じで販売します。開発コストを抑えて開発できるため、先発品(新薬)より価格が安くなります。
3.市販で購入できる花粉症薬の成分
今回、タリオンが医療用医薬品から一般用医薬品に移行した成分「スイッチOTC」として承認されました(現状、発売は未定)が、同様に、スイッチOTCとして、市販薬で購入できる花粉症薬の成分があります。薬局・ドラッグストアなどの店舗で、又、インターネットで購入できるお薬もあります。
市販で購入できる花粉症に効果が期待できるスイッチOTCとなったお薬の代表的な成分としては、現時点では次のものがあります。
・エピナスチン(医療用医薬品=アレジオン等)
市販薬例:アレジオン20【第2類医薬品】/ エスエス製薬
・エバスチン(医療用医薬品=エバステル等)
市販薬例:エバステルAL【第2類医薬品】 / 興和新薬
・セチリジン(医療用医薬品=ジルテック等)
市販薬例:コンタック鼻炎Z【第2類医薬品】 / グラクソスミスクライン・CHJ
・フェキソフェナジン(医療用医薬品=アレグラ等)
市販薬例:アレグラFX【第2類医薬品】 / 久光製薬
・ロラタジン(医療用医薬品=クラリチン等)
市販薬例:クラリチンEX【要指導医薬品】 / 大正製薬
市販で花粉症の薬をご購入される場合には参考下さい。
4.タリオンを服用する上での注意点
タリオンは、第2世代の抗ヒスタミン薬というタイプに分類され、従来のお薬よりも比較的眠気などの副作用は少ないとされています。但し、稀に下記のような副作用が出る可能性はあるため注意が必要です。
主な副作用としては、
・眠気
・口の渇き
・悪心
・胃痛
・下痢
・胃の不快感
・倦怠感
・嘔吐
などがあります。
特に、眠気を催すことがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作を行う場合には、注意が必要です。又、服用を開始し、いつもと違う気になる症状が出た場合には、早めに主治医に相談するようにしましょう。
また、タリオンの成分は、腎臓で代謝されることから、腎臓の機能が低下しているご高齢の方や、腎機能に疾患がある方などの場合は、お薬の血中濃度が高くなり、効果が強く出てしまう可能性があるため、少ない量から服用するなど注意が必要です。
また、市販薬全般でいえることですが、数日服用してみても効果が得られない場合には、花粉症ではない病気が原因になっていたり、お薬が合っていない可能性もあるため、漫然と長期にわたって服用せずに、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
5.おわりに
平成29年9月27日に、タリオンと同じベポタスチンを有効成分とする「タリオンR」「タリオンAR」は、市販薬(要指導医薬品)として承認は受けているものの、現状は発売未定となっています。近々販売される予定だと考えられます。
一方、タリオンの他にも医療用医薬品からスイッチOTCとして購入が可能な花粉症の市販薬は多数販売されており、花粉症でお悩みの方にとっては、選択肢が拡がってきています。病院に行く時間がない、外出先で急に花粉症などのアレルギー症状が出たなどの場合は、市販薬で対処できるのは嬉しいことですよね。
今回の記事を参考に、お薬を選ぶひとつの判断材料となりますと幸いです。
参考
タリオン錠5mg/10mg インタビューフォーム