緩和ケアに用いられるトラマドールの効果と安全性について解説

がんを初め、強い痛みを生じる病気は数多くあります。治療をすることも大事ですが、同じくらい痛みを軽減させて従来通りの生活をすることも大切です。緩和ケアを行う際に必要不可欠なのが医療用麻薬。その中の一つにトラマドールというものがあります。これはどのような薬なのでしょうか?

今回は、緩和ケアに用いられるトラマドールの効果と安全性について解説していきます。
※この情報は、2018年5月時点のものです。

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1.トラマドールの特徴とは

トラマドールはオピオイド系鎮痛薬の一つです。

 

トラマドールを含む医療用医薬品としては、「トラマール」「ワントラム」があります。軽度から中度の痛みに対して処方される、弱オピオイド薬の一つです。モルヒネなどと比べると効果が穏やかなため、がんの痛みがそこまで強くない人に処方されます。

 

オピオイド系鎮痛薬は痛みの神経伝達物質を脳に伝えるオピオイドμ受容体に対して作用します。痛みの神経伝達物質よりも先にオピオイドμ受容体に結合するため、痛みを軽減してくれます。

 

医療用麻薬であるモルヒネやフェンタニルはトラマドールと同じく、オピオイド系鎮痛薬に分類されます。しかしトラマドールは効果が穏やかな分、オピオイド鎮痛薬(軽度)に分類され、医療用麻薬でありません。トラマドールの鎮痛効果は量依存的に上がっていくため、実質天井はありません。しかし一日に大量に用いてしまうとけいれんが生じる危険性があるため、実際に使用される量は制限されています。(1日400mgを超えない)

 

オピオイド系鎮痛薬には副作用もあります。代表的な副作用は便秘です。トラマドールは効果が比較的弱いため、副作用も穏やかであることが多いです。例えばほかのオピオイド系鎮痛薬に比べ精神的な依存が形成される可能性が極めて少ないとされています。そのほかの副作用としては吐き気や眠気が挙げられます。

 

トラマドールの鎮痛作用が、痛みに追い付かなくなったらモルヒネやフェンタニルなどの医療用麻薬の使用が検討されます。

 

2.トラマドールを使用するケースとは

トラマドールは主にがんによる痛みを緩和する際に使用します。がんは発症したことや治療への不安、死亡する可能性があることへの恐怖など精神的な苦痛も引き起こします。しかしそれ以上に、日常的に持続する痛みが患者をとてもつらくさせます。

 

がんの痛みには一般的な鎮痛薬があまり効果がありません。しかしトラマドールを初めとするオピオイド系鎮痛薬は、がんの痛みを抑えてくれます。

またがん以外でもトラマドールは慢性疼痛の際に用いられることもあります。変形性関節症や脊柱管狭窄症、帯状疱疹後神経痛などの痛みが慢性化したときに処方されます。ただし長く使われることはありません。

 

3.痛みは決して我慢しないことが大切

がんの治療の際に、痛みをある程度仕方のないものとして我慢してしまう人もいます。しかし痛みは我慢せず、すぐに医師に相談するようにしましょう。がんを告知されたらとてもショックです。不安や絶望感に襲われて、精神的に参ってしまうことも少なくありません。そこにさらに痛みも加わったら、投げやりな気持ちになってしまうこともあります。

 

がんは発症したら必ず死亡する病気ではありません。早期発見をして適切な治療を行えば、完治させることすら可能です。しかし病は気からという言葉があるように痛みや不安でストレスを溜めてしまったら、がんの病状にも心身にもよくありません。

 

従来は緩和ケアはがんの治療がこれ以上、効果が出ないいわゆる終末治療のような位置づけでした。しかし近年、緩和ケアはがんの治療の開始と同じタイミングで行うことが重要だとされています。緩和ケアは決して医療用麻薬によって、痛みを軽減するだけのものではありません。緩和ケアを行う上では医師を初め看護師やカウンセラーなどがチームとなり治療を施します。

 

身体的な痛みだけではなく、精神的な不安、薬の副作用、果ては医療費の不安などもケアしてくれます。痛い、つらい、不安、そういった気持は我慢せずしっかりと医師に相談して緩和ケアを受けるようにしましょう。

 

4.まとめ

トラマドールは比較的作用の弱いオピオイド系鎮痛薬です。モルヒネやフェンタニルなどのオピオイド系鎮痛薬は作用が強く、医療用麻薬に分類されていますが、トラマドールは医療用麻薬ではありません。作用が弱い分、副作用も弱く依存をほかのオピオイド系鎮痛薬に比べて形成しづらいとされています。

 

トラマドールは痛みがまだ弱いうちのがんに用いられます。がんの治療は精神的な不安も大きいですが、それ以上にがんによる痛みが患者の心身を蝕みます。痛みを我慢してストレスになってしまったら、さらに心身にストレスが掛かり病状や体調が悪化することもあります。現在では緩和ケアはがん治療と同時に行うべきものとされています。痛みに悩んでいるならば、医師に相談するようにしましょう。

執筆
医師:大見貴秀
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