【痛み止め】トラムセット配合錠と他の薬との違い、副作用・離脱症状を解説

痛みがひどく、「トラムセット配合錠」が新しく処方されたものの、今まで服用していた鎮痛剤とどう違うの?と疑問に思われている方もいるのではないでしょうか?
トラムセット配合錠は、2つの成分、「トラマドール」とよばれる非麻薬性のオピオイド鎮痛成分と、「アセトアミノフェン」とよばれる解熱鎮痛成分を配合したお薬です。2011年に販売されてから、様々な痛みに対して効果が期待できることから、処方されるケースも増えてきました。


トラムセット配合錠は、2つの成分の作用により、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)とは違う作用のしかたで高い鎮痛効果を発揮します、その一方で、吐き気、めまい、便秘などの副作用など注意すべきこともあります。また、長期で継続して服用を続けると依存性が生じる可能性や服用中止時には、離脱症状を起こす可能性もあるお薬です。


今回は、トラムセット配合錠の成分、作用や他の鎮痛剤との違いを解説するとともに、注意すべき副作用や依存性、離脱症状についても説明します。
※この情報は、2017年11月時点のものです。

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1.トラムセット配合錠とは?

トラムセット配合錠は、非オピオイド鎮痛薬で治療困難な「非がん性慢性疼痛」「抜歯後の疼痛」の治療に用いられます。

 

非オピオイド鎮痛薬とは、字のごとく、オピオイド鎮痛薬ではないもので、一般的に服用されることが多いロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)やアセトアミノフェンの鎮痛剤がこれに該当します。

 

一方、オピオイド鎮痛薬とは、鎮痛作用が強く、一般的に各種がんによる痛みなど強めの痛みに対して使用されるお薬です。モルヒネやフェンタニルなどの麻薬性鎮痛薬などがオピオイド鎮痛剤に該当します。

 

ここでお話しするトラムセットの成分であるトラマドールは中間の強さをもつ鎮痛薬で、弱オピオイド鎮痛薬と位置付けられています。

1-1. トラムセット配合錠の成分と作用


トラムセット配合錠は、2つの成分、非麻薬性のオピオイド鎮痛成分「トラマドール」と、解熱鎮痛成分「アセトアミノフェン」を配合したお薬です。
1錠中に、トラマドール塩酸塩37.5mgアセトアミノフェン325mgを含有しています。

 

<成分:トラマドール>
トラマドールは、非麻薬性のオピオイド鎮痛成分です。実は、トラマドールのみを含んだ医療用医薬品としては、「トラマール」とよばれるお薬があり、トラムセットとは適応が異なります。こちらは、非オピオイド鎮痛薬で治療困難な「慢性疼痛」の他に、「疼痛を伴う各種癌」に対して使用されます。

 

ここでは細かい作用の説明を省きますが、これら2つの作用により、トラマドールは鎮痛作用を示すとされています。
・鎮痛作用に関連するオピオイド受容体のμ(ミュー)受容体を刺激する
・神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、痛みを和らげる下行性疼痛抑制系神経を活性化する

 

トラマドールは、モルヒネやフェンタニルなどの麻薬性鎮痛薬と同じオピオイド鎮痛成分ですが、依存性が少ないことから、医療用麻薬には該当しない成分です。麻薬性鎮痛薬と比較すると鎮痛作用がやや劣る反面、依存性は少ない成分です

 

<成分:アセトアミノフェン>
アセトアミノフェンは、一般的に用いられる解熱鎮痛薬で、市販の風邪薬などにもよく配合されている成分です。非ピリン系解熱鎮痛薬に分類され、脳など中枢神経に作用することによって、鎮痛作用を示すとされています。NSAIDs(ロキソニンなど)とよばれる解熱鎮痛薬とは作用のメカニズムに違いがあります。鎮痛効果は穏やかですが、副作用が少ないお薬です。

トラムセット配合錠は、トラマドールとアセトアミノフェン、2つの鎮痛成分を併用することで、様々な疼痛に対して相乗効果が期待できるお薬となっています。

1-2. トラムセット配合錠の服用方法

「非がん性慢性疼痛」と「抜歯後の疼痛」に対して服用方法があります。

 

<非がん性慢性疼痛に対して>
通常、1回1錠を、1日4回服用します。投与間隔は4時間以上あけます。
1回2錠、1日8錠の服用が上限で、症状に応じて適宜増減します。空腹時の服用は避けるようにしましょう。

 

<抜歯後の疼痛に対して>
通常、1回2錠を服用します。
追加で服用する場合には、4時間以上の間隔をあけて、1回2錠、1日8錠が上限となります。空腹時の服用は避けるようにしましょう。

 

食事の影響を受けるような薬ではありませんが、空腹時の服用は避けるようにとの記載の理由としては、副作用である悪心や嘔吐等の症状は、一般に食後に服用することによって和らぐ可能性があるためです。

 

万が一、服用のタイミングで飲み忘れた場合には、気がついた時点で服用するようにしましょう。但し、次の服用まで4時間以上間隔をあけるようにして下さい。飲み忘れたからといって、一度に2回分を服用するようなことはしないようにしましょう。

 

2.鎮痛剤の中でのトラムセット配合錠の位置付け

2-1. トラムセット配合錠の位置付け

痛みの強さによって鎮痛薬を段階的に使い分ける方法を示した「WHO三段階除痛ラダー」とよばれるものがあります。
軽度の痛みには、「非オピオイド鎮痛薬(ロキソニン、ボルタレン、カロナールなど)」を使用します。(第一段階)


重度の痛みには、「強オピオイド鎮痛薬(モルヒネやフェンタニルなどの麻薬性鎮痛薬)と必要に応じて非オピオイド鎮痛薬を併用します。(第三段階)

 

トラムセットの成分であるトラマドールは、これらの中間、「第二段階」の軽度から中等度の強さの痛みに用いる「弱オピオイド鎮痛薬」の分類に含まれます。第一段階である非オピオイド鎮痛薬(ロキソニン、ボルタレン、カロナールなど)で十分な効果が得られない場合に使用します。

 

そのため、一般的には、トラムセット配合錠は、非オピオイド鎮痛薬(ロキソニン、ボルタレン、カロナール)よりも高い鎮痛効果を持ち、強オピオイド鎮痛薬(モルヒネやフェンタニルなどの麻薬性鎮痛薬)よりはおだやかな鎮痛効果をもつ鎮痛薬として位置づけられます。

2-2.  NSAIDs(ロキソニンなど)との違い

NSAIDsは、トラムセット配合錠を含むオピオイド鎮痛薬とは、作用のしかたが異なります。非オピオイド鎮痛薬に分類されるロキソニン、ボルタレンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、体内の「痛み、炎症、発熱」などを引き起こす物質(プロスタグランジン)が作られるのを抑えることによって、炎症に伴う腫れや痛みをやわらげる作用を持ちます。


トラムセット配合錠などオピオイド鎮痛薬と比較すると鎮痛効果はおだやかで、依存性など安全性の部分では心配が少ないことから、一般的に使用されることや、市販薬の成分としても販売されているものもあります。

 

2-3. リリカ(成分:プレガバリン)との違い

よく似たようなお薬として混同されやすいものとして、リリカと呼ばれる痛みに対して使用するお薬があります。

 

リリカは、「神経障害性疼痛」や「線維筋痛症に伴う疼痛」に用いられ、病気などが原因で神経が圧迫されたり、障害されることによって起こる痛み(ピリピリ、チクチクなど)に対して効果が期待できるお薬です。

 


トラムセット配合錠は、様々な痛み(炎症から神経の痛みなど)に対して鎮痛効果が期待できますが、リリカは、神経の痛みに対して特に効果が期待できます。

 


症状、痛みの種類によって使い分けられ、神経性の痛みが強くみられる場合にはリリカ、効果が不十分な場合にはトラムセットが使用されるということもあり、また併用される場合もあります。

 

リリカの作用機序としては、過剰に興奮した神経系において、神経伝達物質の放出をおさえることで鎮痛作用を示すと考えられています。

3.トラムセット配合錠で注意すべき副作用

オピオイド鎮痛薬に特徴的な副作用として、吐き気、嘔吐、眠くなる、便秘、めまいなどの症状があります。また、これらの副作用症状に対して、吐き気止めや便秘薬などが合わせて処方されることもあります。


特に飲み始めのときに感じることが多い症状で、続けることで軽減する傾向が認められています。但し、これらの副作用には個人差があり、症状がひどくみられたり、長期で続く方もいらっしゃいます。ひどい場合には、我慢せずに早めに医師に相談するようにしましょう。

 

吐き気止め例・・・ナウゼリン(成分:ドンペリドン)、プリンペラン(成分:メトクロプラミド)など

便秘薬例・・・プルゼニド(成分:センノシド)、アローゼン(成分:センノシド)、酸化マグネシウム、ラキソベロン(成分:ピコスルファートNa)など

また、トラムセットには、アセトアミノフェンが含まれており、トラムセット、1日4錠(アセトアミノフェン1500mg)を超すような高用量で長期服用する場合には、肝臓に負担がかかることで肝障害を発現する可能性があります。

 

特にアセトアミノフェンは、市販薬(風邪薬など)にもよく含まれている成分ですので、重複服用によく注意し、市販薬等を購入する際には店舗の薬剤師に確認するようにしましょう。

 

添付文書記載、副作用等発現状況の概要

 

慢性疼痛及び抜歯後疼痛を有する患者を対象に実施した国内臨床試験における安全性評価対象症例599例中486例(81.1%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。

主なものは、悪心248例(41.4%)、嘔吐157例(26.2%)、傾眠155例(25.9%)、便秘127例(21.2%)、浮動性めまい113例(18.9%)であった。(承認時)

 

4.トラムセット配合錠の離脱症状について

トラムセット配合錠の成分であるトラマドールは、モルヒネやフェンタニルなどの麻薬性鎮痛薬と同じオピオイド鎮痛成分ですが、依存性が少ないことから、医療用麻薬には該当しません。


とはいっても、オピオイド鎮痛成分ですので、頻度は少ないですが、長期で服用を続けた場合、「依存性のリスク」があります。ここでいう薬物依存とは、長期服用時に、耐性、精神的依存、身体的依存がみられることをいいます。

 

耐性・・・体が抵抗性をもつようになり、しだいに効力が下がっていく
精神的依存・・・服用しないと不安、落ち着かなくなるなど、薬物に対して欲求が生じる
身体的依存・・・お薬を摂取している状態が通常となり、摂取を止めると身体的な症状が生じる

 

このような依存性のリスクから、連用中に突然投与を中止すると、神経過敏、不安やふるえ、不眠症などの離脱症状がみられることがあります。そのため、投与を中止する場合には、医師と相談の上、徐々に減量していく必要があります。
麻薬性鎮痛薬と比較すると心配は少ないですが、服用中は、十分に症状に注意するようにしましょう。

 

5.トラムセットは市販で販売されている?

ここまで説明したとおり、トラムセットは効果が期待できる反面、副作用に注意しなければならないため、医師の指示のとおり慎重に服用しなければならないお薬になります。そのため、市販薬としては販売されていません。

 

また、ネットで検索すると、通販として、個人輸入代行業者が運営しているお薬の販売サイトでトラムセットが販売されていることがあります。

 

日本国内で正規に販売されている医薬品は、品質、有効性及び安全性の確認が十分にされていますが、輸入する外国製品にはそのような保証はありません。悪質な業者も増えているという報告もあります。慎重に服用しなければならないお薬ですので、病院をしっかり受診されて、医師の指示のもとお薬を服用されることを強くお勧めします。

 

ラクトプランL-137

6.おわりに

今回は、トラムセット配合錠の成分、作用や他の鎮痛剤との違いを解説するとともに、注意すべき副作用や依存性、離脱症状について説明しました。


トラムセット配合錠は、非オピオイド鎮痛薬(ロキソニン、ボルタレン、カロナールなど)で十分な効果が得られない場合に使用され、軽度から中等度の強さの痛みに用いる「弱オピオイド鎮痛薬」の分類に含まれます。炎症から神経の痛みなど様々な痛みに効果が期待できます。


依存性の少なさから医療用麻薬には該当しない成分ですが、オピオイド鎮痛薬に特徴的な副作用(吐き気、便秘など)や依存性には注意する必要があります。


服用を長期で継続している場合には、突然中止すると離脱症状がみられる可能性があるため、医師との相談の上、徐々に減量していくようにしましょう。

参考:
トラムセット配合錠 インタビューフォーム
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2014年版) – ガイドライン
(リンク: https://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2014/pdf/pain2014.pdf

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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