【痛み止め】トラムセット配合錠とロキソニン錠の作用の違いや併用、注意点を解説

鎮痛薬として代表的な処方薬としてロキソニン錠があります。ロキソニン錠は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)とよばれるタイプの鎮痛薬で、これでも十分な効果が得られない場合には、トラムセット配合錠とよばれる鎮痛薬が処方されることがあります。

ロキソニン錠とトラムセット配合錠、2つのお薬には作用に違いがあり、痛みの強さなどの状態によって使い分けられます。


今回は、トラムセット配合錠とロキソニン錠の成分、作用などを比較し説明するとともに、併用しても問題はないか、また、服用時の副作用や注意点なども合わせて解説していきます。
※この情報は、2018年8月時点のものです。

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1.トラムセット配合錠とロキソニン錠を比較

トラムセット配合錠とロキソニン錠の成分・作用の違いと、作用の強さの位置づけ、どのような症状に対して処方されるかについて比較してみましょう。

 

1-1. 成分・作用の違い

トラムセット配合錠には、トラマドール塩酸塩とアセトアミノフェンという2種類の痛み止めが配合されています。

 

トラマドール塩酸塩は、モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬と同じオピオイド鎮痛成分と呼ばれるものに分類されますが、依存性が少なく医療用麻薬には該当しない成分です。脳に痛みが伝わるのを妨げる一方で、痛みをやわらげる命令を増強する働きを持ちます。

 

アセトアミノフェンは、脳の中枢に作用して痛みを感じにくくさせる働きを持つ解熱鎮痛剤です。

 

トラムセット配合錠はトラマドール塩酸塩とアセトアミノフェンの鎮痛効果を併せ持つので、さまざまなタイプの痛みに効果を発揮する薬といえます。

 

ロキソニン錠には、有効成分としてロキソプロフェンナトリウムのみが含まれています。ロキソプロフェンナトリウムは患部に作用して、痛みや炎症の原因物質であるプロスタグランジンが産生されることをおさえます。

 

つまり、トラムセット配合錠は痛みの伝達経路や脳の中枢に作用して痛みをおさえますが、ロキソニン錠は患部に作用して痛みをおさえます。

 

1-2. 痛み止めの中での作用の強さの位置付け

では、痛み止めとしての作用の強さには、どのような違いがあるのでしょうか?

 

痛み止めの使用にあたっては、痛みの強さに応じてどの鎮痛薬を使うかを段階的に示した「WHO三段階除痛ラダー」という世界共通の基準があります。

 

これによりますと、第1段階の軽い痛みに対しては非オピオイド鎮痛薬(アセトアミノフェンやロキソプロフェンナトリウムなど)を使うとされています。第2段階の軽度から中等度の痛みに対しては、第1段階の薬剤に弱オピオイド鎮痛薬(トラマドール塩酸塩など)を追加して使うとされています。第3段階の中等度以上の痛みに対しては、第1段階の薬剤に強オピオイド鎮痛薬(モルヒネなど)を追加して使うとされています。

 

すなわち、ロキソニン錠は第1段階の軽い痛みに使われる薬剤で、アセトアミノフェンとトラマドール塩酸塩の配合錠であるトラムセット配合錠は第2段階の痛みに使われる薬剤ということになります。

 

1-3. どのようなときに処方される?

トラムセット配合錠は、非オピオイド鎮痛薬、つまりロキソニン錠などでは抑えきれないしつこい痛みや抜歯後の痛みに対して処方されます。ただし、がんで生じる痛みには適応がありません。

 

一方でロキソニン錠は、関節リウマチや腰痛症など特定の病気の痛みや、手術・ケガ・抜歯後の痛み、風邪に伴う発熱やのどの痛みなどに対して処方されます。

 

このように添付文書上の記載からも、トラムセット配合錠のほうがより一層強い痛みに対して効果が期待される薬剤であることがわかります。

 

2.トラムセット配合錠とロキソニン錠は併用しても大丈夫?

トラムセット配合錠とロキソニン錠は、作用するポイントが異なるので併用しても大丈夫です。一緒に服用することで、どちらかの効果が強くなったり弱くなったりすることもありません。安心して使える組み合わせといって良いでしょう。

 

3.トラムセット配合錠、ロキソニン錠服用時の副作用や併用時の注意点

トラムセット配合錠やロキソニン錠に限らず、医薬品使用時には副作用に注意が必要です。ここではそれぞれの副作用の他、併用時に注意するべき点について解説します。

 

3-1. 副作用

トラムセット配合錠の副作用として頻度が高いのは、吐き気や嘔吐、眠気、便秘、めまい等です。これらの副作用は、継続して服用することで症状が軽くなることも多いですが、個人差があります。副作用がつらい場合には、遠慮せずに医師に相談しましょう。症状に応じて吐き気止めや便通を良くする薬が処方されることもあります。

 

ロキソニン錠はトラムセット配合錠に比べて副作用の発生頻度は低いですが、胃を荒らしたり肝臓の機能に異常があらわれたりすることがあります。

 

多くの副作用は、定期的に行われる血液検査や患者さんの自覚症状から大事に至る前に発見できることが多いといわれていますが、体調変化に気がついたら早めに受診して医師の診察を受けましょう。

 

3-2. 併用時の注意点

トラムセット配合錠は服用開始から1~2週間は吐き気や嘔吐の副作用が起きやすいことが知られています。一方で、ロキソニン錠は胃を荒らしやすく、胃潰瘍などがある人には使用してはいけないことになっています。そのため、ロキソニン錠で胃が弱っている時にトラムセット配合錠を使って吐き気や嘔吐が生じると、胃の状態が悪化してしまう可能性があります。

 

重大な副作用を回避するためには、トラムセット配合錠の服用開始直後はロキソニン錠の服用回数を減らす、あるいは可能であれば服用を中止するとよいかもしれません。

 

ロキソニン錠の量を減らすことに不安を感じるかもしれませんが、ロキソニン錠と比べてトラムセット配合錠は痛みを抑える力が強いので、痛みを抑え切れないということは少ないでしょう。

 

なお、服用方法については症状や医師の治療方針によって変わりますので、不安な場合は必ず医師に相談しましょう。

 

トラムセット配合錠の依存性のリスク

 

トラムセット配合錠に含まれるトラマドール塩酸塩は、モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬と同じオピオイド鎮痛成分と呼ばれるものに分類されます。しかし、モルヒネなどと異なり依存性が少ないため医療用麻薬には該当しません。しかし、長期間使用することで「依存性」が生じる可能性があります。

 

依存性が生じると、

・薬が効きにくくなる

・薬の使用を求めるようになる

・薬が切れるとからだがつらくなる

といった症状などがあらわれます。モルヒネなどと比べてリスクは少ないですが、こういった症状がみられる場合には医師に相談しましょう。自己判断で服用を突然中止してしまうと、精神的に不安定になったり、落ち着きがなくなったり、ふるえや不眠などが生じることがあります。

 

4.トラムセット配合錠、ロキソニン錠は市販で購入できる?

トラムセット配合錠に含まれるトラマドール塩酸塩は、依存の危険性や副作用などの点から扱いに注意が必要な成分です。そのため、トラマドール塩酸塩を含む市販薬は日本にはありません。

 

一方で、アセトアミノフェンは市販の風邪薬や痛み止めなどにもよく含まれています。このような薬をうっかり飲んでしまうと、アセトアミノフェンの過剰摂取になる可能性があります。風邪薬や痛み止めなどを購入する場合には、トラムセット配合錠との飲み合わせを薬剤師などに相談するようにしましょう。

 

ロキソニン錠は、市販でも購入できます。「ロキソニン」という商品名がついていなくても有効成分であるロキソプロフェンナトリウムを含む市販薬は数多くあるので、商品名だけではなく成分名まで確認するようにしましょう。

 

なお、痛みがひどく市販薬を使用した場合には、その旨も必ず医師に伝えるようにしましょう。「処方している薬だけでは痛みが抑えきれない」といった情報も、診断や治療に役立つものだからです。

 

5.おわりに

今回は、トラムセット配合錠とロキソニン錠の成分、作用などを比較するとともに、併用の可否、副作用や注意点なども合わせて解説しました。

 

トラムセット配合錠とロキソニン錠は作用するポイントが異なるので、併用することでより大きな鎮痛効果を期待することができます。一方で、トラムセット配合錠の服用開始直後には吐き気や嘔吐などの副作用が生じやすく、ロキソニン嬢による副作用と相まって重大な副作用を起こす可能性も否定できません。

 

両剤を併用する際には体調変化に注意し、医師の指示に従って服用するようにしましょう。

執筆
薬剤師:中西 真理
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