【医師が解説】海外渡航時、病気予防に予防接種を活用しましょう!

2017年、旅行や仕事で日本から海外を目指した人は1,789万人でした(法務省入国管理局より)。

24時間オープンの空港や格安航空会社(LCC)なども整備され、海外に気軽に行けるようになった一方、現地で病気や事故、災害、テロなど思わぬ事態に遭遇してしまうこともあります。

今回は、「海外渡航時の病気予防」に重要となる「予防接種」について説明していきます。
※この情報は、2018年8月時点のものです。

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海外は、日本と気候や衛生環境が異なります。日本人の海外旅行は、一般的に休暇であれ出張であれ、短期間であり、移動が多く疲れやすく体調も壊しやすいです。

 

1.海外でかかりやすい病気とは?

海外で特に気をつけたい病気の代表が「感染症」です。「感染症」には、食べ物や飲み物を介するもの、他人から感染するもの、事故やケガで感染するもの、動物や昆虫を介するものなど非常に多彩です。予防についての正しい知識を持つことで、感染のリスクを減らすことが出来ます。

 

2.海外旅行に予防接種は必要か?

日本で予防接種と聞くと、一般的に「インフルエンザ」をイメージする方が多いかもしれません。「インフルエンザ」が蔓延し体調不良者が続出すると、行政や会社、学校など社会活動に支障が出ます。「社会防衛」の意味合いが強い予防接種が「インフルエンザ」と言えます。

 

一方、海外での感染症を防ぐ「海外渡航向け予防接種」は、個人個人の健康を守る意味で「個人防衛」のワクチンと言えます。

 

海外で健康に過ごす上で、観光、出張・赴任(帯同含む)、留学全てにおいて知っておきたい必要な事柄です。

 

3.旅の目的や場所で、必要な予防接種は違う?

海外に行く「目的」が観光なのか仕事なのか、「期間」は短期間か長期間か、「場所」は大都市か郊外か、宿泊施設はホテルか現地家庭なのか、「内容」は屋外での冒険旅行や登山などを行うのかなど旅行形態は様々です。

 

訪問する国や地域、現地での過ごし方によってリスクが異なるため、ただ単に「海外渡航向け予防接種」を打てば良い訳ではありません。旅行医療や渡航医療に詳しい医療機関や医師と相談をし、1人1人に合ったオーダーメード予防接種計画を作ることが理想的です。旅の計画が決まったら早めに相談することをお勧めします。

 

日本人が多く訪れる国や地域で、特に感染に注意したい病気を述べましょう。なお予防接種には複数回の接種が必要となる場合もありますので、旅行直前ではなく早めに医師と相談することをお勧めします。

 

「A型肝炎」: 欧米を除く世界各地で発生。潜伏期間約2~7週間。経口感染(水や氷などが口に入り感染する)が多く、水道設備が整っていない地域や宿泊施設では特に注意が必要です。

 

「B型肝炎」: 血液や体液を介した感染が主です。超重症で瞬く間に進行する劇症肝炎、慢性感染による肝硬変、肝臓がんへの進展があり、注意が必要な病気です。発展途上国でのリスクが高め。注射針の回し打ちや輸血など医療による感染も過去には発生しています。事故やテロなどに遭遇する危険は世界中にありますし、治療を受ける際にも注意が必要です。

 

「破傷風」:世界中の土の中にいる菌で土を介して感染します。潜伏期間約3日~3週間。深い刺し傷、土で汚れた傷などで感染するため、ケガや事故の際には特に注意が必要です。

 

「日本脳炎」: 蚊がウィルスを媒介する病気。潜伏期間約1~2週間アジア諸国、雨季の滞在や農村部での屋外活動では蚊に刺される頻度が高くなるため注意しましょう。

 

「A型肝炎」、「B型肝炎」、「破傷風」は、目的地を問わず「海外渡航向けの基本的なワクチン」と言えるでしょう。

 

「狂犬病」: 「狂犬病」は、ウィルスを持った動物に噛まれたり、傷口をなめられたりすることで感染します。日本国内では約50年報告されておらず、日本にいる限りでは非常に稀な病気です。ところがアジア、アフリカ、南米など世界中の大部分の地域で発生しています。ひとたび発症すると、死亡率が100%近く危険です。

 

「狂犬病」という名称から「犬だけの病気」のイメージが強いですが、猫、猿、キツネ、アライグマ、コウモリなどからも感染する可能性があります。海外では動物にむやみに触ったり、かまったりしないことが重要です。 

 

日本にはほぼ存在しない病気であるため、噛まれる前(暴露前)予防接種薬の供給量が非常に少ない現状があります。もし、現地で噛まれた時にはすぐに現地の医療機関を受診することも検討しましょう。

 

4.予防接種に健康保険は使えない?

日本国内で病気やケガの「治療」をする場合、健康保険が適応されます。「予防接種」は、治療ではなく「予防目的」であるため、小児における法定予防接種を除き、自費負担となり全ての医療機関で健康保険は適応されません。

 

5.帰国後の体調不良はどうする?

帰国時に何らかの体調不良を訴える方は、数十パーセントにも及ぶといわれ、発熱、下痢などの胃腸症状、皮膚の異常、咳が多くみられます。

 

5-1. 帰国時(再入国時)に症状がある場合

日本国内の空港や港には、(小樽、仙台、成田空港、東京、横浜、新潟、名古屋、大阪、関西空港、神戸、広島、福岡、那覇)合計13か所(支所を含むと27か所)の「検疫所(けんえきしょ)」が設置されています。

 

「検疫所」では、渡航者を対象にした健康相談を行っています。帰国時に発熱や下痢、具合が悪いなど体調不良がある場合は、まず空港や港にある「検疫所」に相談しましょう。「検疫所」は、厚生労働省健康局が管轄し、検疫医療専門職(医師)も在籍しています。

 

厚生労働省検疫所HP

 

検疫所名

電話番号

受付時間

小樽検疫所

0134-23-4162

平日8:30-12:00,13:00-17:15

千歳空港検疫所支所

0123-45-7007

平日8:30-17:15

仙台検疫所

022-367-8101

平日8:30-17:15

仙台空港検疫所支所

022-383-1854

平日8:30-17:15

成田空港検疫所

0476-34-2310

平日9:00-12:00,13:00-17:00

東京検疫所

03-3599-1515

平日9:00-12:00,13:00-17:00

千葉検疫所支所

※東京検疫所で対応。

東京空港検疫所支所

03-6847-9312

平日8:30-17:00

川崎検疫所支所

※東京検疫所で対応。

横浜検疫所

045-201-4456

平日8:30-17:15

新潟検疫所

025-275-4615

平日8:30-12:00,13:00-17:00

名古屋検疫所

052-661-4131

平日9:00-12:00,13:00-17:00

清水検疫所支所

0543-52-6012

平日9:00-12:00,13:00-17:00

四日市検疫所支所

0593-52-3574

平日8:30-17:00

中部空港検疫所支所

0569-38-8192

平日8:30-17:00

大阪検疫所

06-6571-3522

平日9:00-17:00

関西空港検疫所

072-455-1283

平日8:30-12:00,13:00-17:15

神戸検疫所

078-672-9653

平日8:30-12:00,13:00-17:00

広島検疫所

082-251-2927

平日8:30-12:00,13:00-17:00

広島空港検疫所支所

0848-86-8017

平日8:30-12:00,13:00-17:00
13:00-15:00はフライトの都合で対応不可の場合あり

福岡検疫所

092-291-3585

平日8:30~12:00,13:00~17:15

門司検疫所支所

093-321-3056

平日8:30~12:00,13:00~17:15

長崎検疫所支所

095-826-8081

平日8:30~12:00,13:00~17:15

鹿児島検疫所支所

099-222-8670

平日8:30~12:00,13:00~17:15

福岡空港検疫所支所

092-477-0210

平日8:30~17:15(緊急時に土日祝日対応)

那覇検疫所

※那覇空港検疫所支所で対応。

那覇空港検疫所支所

098-857-0057

平日8:30-12:00,13:00-17:00

厚生労働省HPより作成

 

私自身、海外渡航医療を行う中で、各地の「検疫所」に相談することがあります。何となく近寄りがたいイメージがある「検疫所」ですが、丁寧な対応をしてくれると思います。

 

5-2. 帰国後に症状が出た場合

帰国後に症状が出た場合、医療機関への受診が必要になるかもしれませんが、受診前に注意して頂きたい点があります。

「感染症」には、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)があります。潜伏期間は「感染症」によって異なりますが、数日~数週間以上に及ぶ場合もあります。

 

日本には存在していない「感染症」などは、専門的な医療機関でなければ診断や治療が行えないこともあります。いきなり医療機関を受診するのではなく、事前に電話連絡をし、海外渡航歴があることを申告し、相談することをお勧めします。

 

なお受診の際には、滞在国、滞在期間、現地での飲食状況や活動内容、動物との接触の有無、予防接種歴をお伝え下さい。

 

6.おわりに

日本から仕事や勉強、観光目的に海外に行く方が沢山います。海外渡航の外来を行っていると、学校や職場が現地の状況を調べて、病気対策を講じている場合もありますが、「海外渡航向け予防接種」を含めた情報収集が個人任せになってしまっていることも多い現状があります。予防接種ワクチンで全ての病気が防げる訳ではありませんが、防ぐ準備を講じておくことが何より重要です。

 

事前の対策をしっかり行い、安全な海外旅行をして頂きたいと思います。

執筆
医師:倉田大輔
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