気になる手のふるえは病気のサイン?種類別に何科を受診すべきか解説

ふるえの症状は見かけ上も目立つだけでなく、日常生活のうえでも不便なことがあります。例えば、手がふるえて字が書きづらい、コップをもっていると水がこぼれてしまう、というような悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。また、手のふるえがパーキンソン病という病気の初期症状の一つだと知って、心配になっている方もいらっしゃるかもしれません。症状が出た場合には、医師の診察を早めに受けることが大切です。

でも、いざ医師に診断をつけてもらって治療しようと思っても、どの科にかかったらよいかわからない、そんな方のために、ふるえにはどのような原因のものがあり、何科にかかったらよいか、ふるえの種類に応じてご説明していきます。
※この情報は、2018年4月時点のものです。

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1.手足のふるえは病気?病院に行くべき理由

実はふるえのない健常人でもセンサーをつけて計測すると、細かいふるえが観察されることがあります。

つまりふるえることは生理的(正常)な状態でも起こっている現象なのです(生理的振戦)。

 

しかし、病気で起きるふるえでは、日常生活の中で、細かい動作がしづらくなります。

 

全てのふるえが悪いものだとはいえないものの、治療しなければいけないものか、はケースバイケースで考えていく必要があるのです。様々な種類のふるえがあり、その判断は専門家でないと難しいため、まずふるえでお悩みの場合には、病院に行くことが大切です。

 

2.ひとつではない、様々な種類のふるえ

“ふるえ”は一種類の病気ではなく、様々な種類のものがあります。まず、ふるえには速いものと、ゆっくりしたふるえがあります。なかなか眼で見て数えるのは難しいですが、一秒間にふるえる回数が2ー3回、4ー5回のゆっくりしたものから、10回近い速いものまで様々です。

 

出現する状況にもいろいろな場合があり、

・何もしないでリラックスしているときにふるえてくるもの(静止時振戦)

・ある姿勢をとったとき(姿勢時振戦)

・ある動作をしたとき(動作時振戦)

・何かをしようとしたときにふるえてくるもの(企図振戦)

があります。まずは自分のふるえがどんなふるえなのか、よく観察してみましょう。

 

また、ふるえる部位も様々です。

片側のふるえもありますが、両側におきることもあります。指のふるえが最もしばしば見られますが、場合によって足がふるえることもあります。もちろん両方一緒に起きる場合もあります。

また、頸部がふるえることもあり、これも首を横に振る場合と(いやいやをするような方向)、縦に振る場合(うなづくような方向)があります。

のどの筋肉がふるえて、声のふるえが起きることもあるのです(音声振戦)。

 

手足の先の筋肉が主にふるえるのか、それとももう少し手足の根本の筋肉もふるえているのかという区別もあります。

 

原因からみた場合には、大きく「神経の病気に伴うふるえ」と、「全身性の病気に伴うふるえ」があります。

どのような治療をするのかが変わってきますので、ここではふるえの原因に応じて、お話をしていきます。

 

3.神経の病気に伴うふるえ

3-1. 本態性振戦

①本態性振戦の症状・特徴

”ふるえ”は医学用語では一般に振戦といわれています。本態性振戦とは、”原因の不明な”振戦という意味です。

 

高齢者のふるえとしては最も多く人口の2.5~10%を占めるといわれています。「お年寄りのふるえ」といったときに通常イメージするのは、このタイプの振戦です。本態性振戦は動作をしたり、じっとして安静にしている時には起きませんが、手などに力をいれたとき、ある姿勢をとったときなどに起こりやすいという特徴があります。

例えば、ものをとったり、字を書いたり、細かいことをしようとしたときにふるえます。よく観察すると、一秒間に4ー9回ふるえることが多いですが、後で述べるパーキンソン病よりやや速い傾向があります。

 

本態性振戦では、ふるえ以外の症状が出ないのが特徴です。ふるえ自体は経過とともに悪くなる場合もありますが、あまり変わらないものもあります。最初は手だけにあったふるえが、首を揺らしたり、人前で話すと声がふるえたりと、広がることもあります。中年から高齢の人で出やすいですが、ふるえが多くみられる家系では、若い時からふるえが出る人もいます。後で述べるパーキンソン病の場合と違って、本態性振戦では、ふるえ以外の症状はでてきません。

 

②何科にかかるべき?

神経内科を受診して下さい。本態性振戦は基本的に悪い病気ではありませんが、見かけがわるいと気になったり、ふるえがひどくて日常生活に不便がある場合は薬による治療を行います。

 

主に使われる薬剤は二種類あります。ひとつは、抗てんかん薬といって、てんかんにも使われるような薬を用いたり、交感神経の働きを弱める薬(交感神経遮断薬、βブロッカー)を用います。前者の副作用としては、ふらつき、めまいなどがあり、高齢者で使うときには転倒に注意したほうがよいでしょう。後者については、心臓への影響や、喘息への影響を考える必要がある場合があります。ふるえは緊張などでひどくなるので、精神安定剤が用いられることもあります。

 

注意点は、薬を飲んでも完全にふるえがとまるわけではないということです。緊張したときや、動作時には、薬をのんでいても、どうしても出る場合があります。ふるえの程度が重く日常生活に著しく差し支える場合には、脳に電極を入れて微弱な電流を流す「脳深部刺激療法」といった外科的治療が行われることもあります。

 

一見、本態性振戦のように見えながら、少し不規則な要素のあるふるえの場合は(ふるえの大きさが時々大きくなる、ふるえの頻度が不規則である、など)、ミオクローヌスという別の種類の不随意運動である可能性があります。また、ふるえには、多発性硬化症など別の神経の病気が背景にあることもあります。ですから、ふるえだけしか症状がないからといってすまさずに、医療機関を受診したほうがよいこともあるのです。

 

3-2. パーキンソン病に伴うふるえ

①パーキンソン病の症状・特徴

パーキンソン病でもふるえが出るということをお聞きになったことがある人もいらっしゃるでしょう。パーキンソン病の4分の3くらいの症例では、ふるえから症状が始まります。パーキンソン病は脳の黒質という部分に異常をきたし、神経伝達物質であるドーパミンの分泌が減るために起きる病気です。

 

パーキンソン病では、当初ふるえしか症状がない人もいますが、進行するとともに手がふるえるだけでなく、動作がゆっくりになる、筋肉がこわばる、バランスがとりづらくなる、など様々な運動症状が出てきます。

 

パーキンソン病の典型的なふるえは、リラックスしているときに起きやすいので、静止時振戦と呼ばれます。通常体の片側からはじまって両側に及んできます。手にはじまることが多いですが、足に出ることもあります。手に出現するときには「丸薬を指で丸めるときの動き」に似ていて、その頻度は一秒間に4-7回です。つまり上で述べた本態性振戦よりやや遅い傾向がありますが、かなり重なりもあります。興味深いことに、静止時振戦は、動作をしようとする際には一時的に消えるのが特徴です。ただ患者さんによっては、姿勢時・動作時振戦を示す人もいます。

 

②何科にかかるべき?

上で述べたように、パーキンソン病で本当に困るのはふるえだけでなく、運動症状も出てきて、それらが徐々に進行していくことです。パーキンソン病の治療は神経内科で行なっていますので、この病気が疑わしい場合には神経内科にかかって下さい。

 

別の記事でパーキンソン病の治療について詳しく解説していますが、治療の進歩が近年著しく、また長い付き合いが必要となる病気ですので、専門家の治療をうけることが大切です。

 

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パーキンソン病との向き合い方、治療方法や薬について解説

 

3-3. 筋萎縮に伴うふるえ

①筋萎縮を伴う疾患の症状・特徴

筋肉は神経により支配されています。神経が興奮すると、その興奮が軸索を伝わり神経と筋肉の接合部のところに到達します。すると神経の末端からアセチルコリンという伝達物質が放出され、その刺激により筋肉に収縮が起きます。

 

筋肉に達する神経が何らかの理由で死んでしまったり、機能障害を起こすと、それに支配されている筋肉も萎縮する場合があります(筋萎縮)。

 

つまり筋肉を構成している一本一本の筋線維が細くなったり、筋線維の本数が少なくなります。これは神経が筋肉を栄養する因子を作っているからだと言われています。このような変化が起きると、筋肉が同じ力を出そうとしたときに個々の筋線維に負担がかかり、ふるえるようになるのです。

 

②何科にかかるべき?

筋萎縮をきたす病気には様々なものがありますので、まずはその原因を知ることが大切になります。やはり神経内科を受診してください。筋萎縮の原因が整形外科的な病気のこともありますが、まずは神経内科で検査をしてもらい、紹介してもらうとよいでしょう。

 

3-4. 小脳の病気に伴うふるえ

①小脳疾患の症状・特徴

小脳の病気があると、いろいろな動作をしたときにふるえが起きやすくなります。例えば、ものを取ろうとしたときに、そこにまっすぐ手がいかず、途中で軌道ががたがたと揺れたり、目標に到達する直前に、手がふるえてなかなか取れないこともあります。

 

動作をしようとしたときに、企図振戦が見られることもあります。この他にも、ある姿勢をとったときに、一秒間に2-3回揺れるゆっくりしたふるえが続くこともあります。

②何科にかかるべき?

神経内科にかかって下さい。脊髄小脳変性症、小脳の脳梗塞、腫瘍などの病気が原因になります。

やはり神経内科を受診してください。脳の画像、例えば磁気共鳴画像(MRI)を撮影すると、小脳に萎縮や病変がみられることがあります。

 

3-5. その他のふるえ

この他、脳梗塞でも、大きな発作の前に、手のしびれやふるえが起きる場合があります。この場合も、やはり神経内科の受診になります。

 

4.全身性の病気に伴うふるえ

必ずしも神経の病気がなくても、ふるえることはあります。

 

例えば、腕の筋肉を酷使したりした時に手がふるえるのは誰でも経験があるかもしれません。また非常に緊張したり、恐くなったり、あるいは怒った場合にふるえることもあるでしょう。このようなふるえや、一時的な振えであればあまり心配することはないでしょう。しかし、放置しておいてはいけないふるえもあります。

 

4-1. 甲状腺疾患に伴うふるえ

①甲状腺疾患の症状・特徴

甲状腺からホルモンが過剰に放出される甲状腺機能亢進症では、ふるえが起きやすいことが知られています。

 

バセドウ病という病気の名前を聞いた方もあるかもしれませんが、この病気では甲状腺ホルモンが甲状腺で過剰に産生されるようになり、これが筋肉に働きかけて収縮が起きやすくなり、ふるえが起きるのです。手が細かくふるえる、暑くないのに汗をかく、人前で話すと胸がドキドキするなどの症状があります。

 

甲状腺ホルモンは全身のいろいろな細胞に働いて、代謝を亢進させる作用のあるホルモンです。

 

したがってこのホルモンが過剰に分泌されると、体温が上がったり、やせてきたり、発汗が起こりやすくなります。特徴的な訴えは、暑がりになった、冬でも暑くて、薄着をしている、というものです。これにふるえが加わって来れば、甲状腺機能亢進症が疑わしいことになります。さらに頸部の前にある甲状腺が腫れているようであれば、かなり怪しいです。

 

甲状腺機能亢進症に伴うふるえには、交感神経の作用が関係しているといわれています。

 

強い怒りを感じたり、これからスポーツの試合やけんかをしようとするとき、あるいは恐怖を感じたときに、ふるえたことがあるでしょう。

これはこのような体にとってストレスな状況になると、副腎髄質というところからアドレナリンという交感神経の伝達物質が放出され、これが筋肉をふるえさせるのだと考えられています。

 

甲状腺ホルモンは、それ自体がふるえを起こすというよりは、アドレナリンに対する筋肉の感受性を高める作用があるとされています。上で述べたようにふるえの治療に交感神経の働きを弱める薬を用いるのもそのためです。

 

②何科にかかるべき?

甲状腺機能亢進症のふるえについては、内科(内分泌内科)に受診してください。甲状腺ホルモンが過剰に放出されることが原因ですから、甲状腺ホルモンの過剰な放出を抑えることが根本的な治療になります。しかし、ふるえがつよい場合には、あわせて交感神経遮断薬を用いることもあります。

 

4-2. 発熱に伴うふるえ 

①発熱の症状・特徴

発熱に伴ってふるえることもあります。シバリング(shivering)とも呼ばれます。

たとえばインフルエンザなどにかかり、悪寒を感じて、これから熱があがっていくときにふるえることは経験があるでしょう。

 

悪寒があるときにはどうしてふるえるのでしょうか。インフルエンザや風邪のウイルスに感染すると、われわれの体は炎症を活発化させ、病原菌をやっつけようとします。体温を高めることによって、白血球など免疫系の機能を高めることが重要になるのですが、体温を高めるためには筋肉を収縮させて、これにより産熱をさせるわけです。このときに働くのが交感神経ということになります。

②何科にかかるべき?

発熱に伴うふるえは、体がこれから体温をあげて、病原菌に対抗しようとうするときのふるえということになります。

 

従って、ふるえを止めること自体に意味はありません。それより熱の原因となった病気を治療することが先決です。内科を受診してください。

 

4-3. アルコール中毒のふるえ

①アルコール中毒の症状・特徴

ふるえはアルコール中毒でも見られます。最も典型的なのは慢性のアルコール中毒によるふるえです。とくにアルコールをやめた禁断症状として起こります。飲酒中断48~72 時間後におきる振戦せん妄では、落ち着きのない状態から始まり、興奮,振戦、発汗、幻視、幻聴などの症状が出てきます。

 

②何科にかかるべき?

まずは内科でアルコールが原因のふるえであることを診断してもらいましょう。

慢性アルコール中毒の場合には、禁酒が必要となります。

 

アルコール中毒の診療に慣れている医師にみてもらうのが良いでしょう。アルコール専門の病院に通院・入院したり、断酒会に参加することが必要になることもあります。

 

5.おわりに

様々なふるえの種類と、どの科にかかったらよいかをみてきました。

 

ふるえは薬などの治療だけではなく、普段の生活で気をつけることでやわらげることもできます。精神的な影響を受けやすいので、緊張するとひどくなることが多いです。リラックスして、緊張をおさえることも症状の改善につながります。

 

カフェインなどの刺激物は症状を悪化させやすいので、ふるえのある人はコーヒーなどの飲料は飲みすぎないように気をつけましょう。

 

逆にアルコールを飲むと一時的に振戦はおさえられますが、振戦を抑えるためにアルコールを多飲するのはもちろんよいことではありません。

 

ふるえで困っている場合には、癖のようなものだと自己判断をして軽くみたり、逆に一人でなやんだりせずに、医療機関でみてもらうとことが大切です。

執筆
医師:子煩悩神経内科医
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