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くすりの相談室運営事務局
かかりつけ薬局を決めておくことで効果的な投薬や残薬管理、お薬を重複してお渡しすることを防止する…など実はメリットがたくさん。 この連載では、地域住民からかかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師として信頼を得ている「ゆきさん薬局」の薬剤師、ゆきさんの事例をご紹介。 病気、健康、薬についての知識をお伝えしながらも、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師の活用方法を身近に感じていただければと思います。 それでは、「患者さんを笑顔にして薬局を送り出すことが何より大切」をモットーとしているゆきさんの物語をお楽しみください。
登場人物
★ゆきさん
雪原 匠(ゆきはら たくみ) 49歳 男性
ゆきさん薬局の管理薬剤師&オーナー
顔の見える薬剤師を目指し、日々奮闘中
★林 智子
林 智子(はやし ともこ) 40歳
橋本病
調子が良くないので、病院を変えようか悩んでいる
調子が悪いから、病院にも行きたくない!
いつもチラージンを取りに来られる林さんが、薬局に来られました。
林さん
「今日は、何だかつらいは」
ゆきさん
「どうされましたか?」
林さん
「最近、すぐに疲れるの」
ゆきさん
「先生にはご相談なさったのですか?」
林さん
「えー話したけど、聞いて良いのか何だかわからなくて、『いつものお薬出しておきます』で終わってしまったの。調子が悪いから、病院にも行きたくないわ」
ゆきさん
「最近は、血液検査をされましたか?」
林さん
「今日血液を取ったので、次回結果が分かるみたい」
ゆきさん、患者さんが考えていること、思っていることを代弁することがあります。
「先生に不信感があるなら、病院を変えた方が良いですよ。病は気からだから。気の合う先生に診てもらうことが一番です」
ゆきさんは、性格的に合わない場合は、医師を変える事を薦めることがしばしばあります。
しかし、いわゆるドクターショッピングと言われるあちこちの病院に行くことを薦めません。大抵の場合、結果が変わらないからです。
今回は、医師を良く思っていない状況で弁護しても聞く耳を持たないと考えて返事をしました。
林さん、自分が思っていることを言ってくれたという表情で、話しました。
「本当にそうなのよ」
ゆきさん
「でも、今日血液検査をしたんですよね。結果が出てからでも遅くないので、それから考えましょう。いずれにしても検査結果を見ないと判断出来ませんよ」
林さん
「それもそうね。検査結果を聞いたら、また相談に来ます」
原因を確認して、まずは治療をしましょう
1週間後、林さんが来局されました。
ゆきさん
「検査結果は、いかがでしたか?」
林さん
「チラージンの量を増やすと言っていたわ」
ゆきさん
「やはり、甲状腺機能が低下していたんですね。原因がわかって良かったですね」
林さん、まだ先生への不信感がぬぐえていなかったようです。
「そう。これで大丈夫かしら?」
ゆきさん、薬をお渡しする時は、より効果が出ることを心がけて渡すようにしています。効くかもしれないではなく、これで治ると希望を持てるようにお渡しします。
「甲状腺機能は基本的に血液検査で判断します。甲状腺ホルモンの量を増やせば、きっと疲れやすいのも取れるはずですよ。飲み忘れないように飲んで、様子を見てください」
林さん
「そうね。試す前から大丈夫かしら?と考えても仕方無いわね。試してみるわ」
ゆきさん
「心配していたら、心配していた通りになるから、何も考えずに、まずは薬を飲んで治療するのですよ!」
林さん
「ゆきさんに話したら心配が吹っ飛んだわ。ありがとうございます」
ゆきさん
「じゃあ、また来月結果を教えてください」
今までの経緯がわかる先生に、お任せした方が良いですよ
さらに1ヶ月が過ぎて、林さんがうれしそうに薬局に入ってきました。
「ゆき先生、何だか調子良くなりました」
ゆきさん
「それは良かったじゃない。やはり甲状腺ホルモンを増やしたら調子良くなったんですね」
林さん
「お陰さまで、ありがとうございます」
ゆきさん
「僕はこの処方元の先生にお会いしたことがないので、良く分からないけど、きちんと診てくれているじゃない。今までの林さんの話から、ぶっきらぼうには感じるけど」
林さん
「そうなの。ぶっきらぼうな先生よ」
ゆきさん
「林さん、実は甲状腺ホルモンの調節は慎重にやらないといけないんです」
林さん
「そうなんですか」
ゆきさん
「甲状腺ホルモンが多すぎると、骨量が減少したり、心房細動と言われる不整脈を起こす確率を上げたりします。一方、不足していると精神機能が低下したり、動脈硬化を進めたりします。だから調節が重要です」
林さん
「そうなんですね」
ゆきさん
「この間は、先生がきちんと診てくれていないと怒ってられたから、あまりお話ししませんでしたが、検査結果も見ないで治療するのも、いい加減なことになる場合もありますよ」
林さん
「どうして?疲れているんだから、栄養剤とか処方してくれれば良いじゃない」
ゆきさん
「今回、たとえ栄養剤をもらって良くなったとしても、根本治療にはなりません。むしろ、気がつかないで放っておいたら、甲状腺機能低下が悪化して、よりひどくなっていたかも知れません。」
林さん
「私もこの間は疲れていたから、感情的になっていたかもしれませんね。いつもゆきさんのおかげで助かっています」
ゆきさん、
「とりあえず、お元気になって良かったですね。今後も出来れば、今までの経緯を見ていただいている医師におまかせした方が良いですよ。またお待ちしています。いや、本当は来ない方が良いんですけどね」と笑いながら林さんをお見送りしました。
※ゆきさん薬局の物語に登場する人物は、フィクションです